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インターハイ三冠王渋谷浩が見た大津大会<3> 男女ダブルス決勝 

shibu01.jpg■男子ダブルス

 決勝の松山/木造ペアの勝因は苦しい展開だった第3ゲームを取ったことに尽きると思います。奇数のゲーム(第1ゲーム、第3ゲーム)は左利きの金の打球を右利きの松山が受けるパターンでしたが、松山は金の返球に対して、なかなか踏み込んで打球することができず、ワンテンポ遅れた攻撃になっていました。左利きの金はワイドに打ち分けられるため、松山の動き出しも遅れてしまいました。

 そのため、奇数のゲームは明徳義塾ペアが有利な展開になることが多かったと思いますが、厳しい展開になることが予想された(奇数の)第3ゲームを取ることができたので、続く第4ゲームも勢いに乗り、優勝することができました。

 第3ゲームは5対8とリードを許す展開でしたが、愛工大名電ペアがネットインで得点をした後のプレーでも得点を挙げたことで流れが変わりました。ラッキーな得点の後にもう一度得点できたことで勢いに乗り、相手ペアにも精神的に大きなダメージを与えることができたので、そうしたプレーの数々が結びついて、逆転でのゲーム奪取につながりました。

 松山は威力十分のドライブを打つなど、大きな得点源として役割を果たしていたと思います。また、パートナーの木造は打球点の高さが光りました。チキータレシーブやカウンタードライブなどで相手を押し込み、得点のチャンスをつくりだしていました。

 決勝では敗れましたが、春日/金も非常に素晴らしいペアでした。準決勝では及川/三部に対して、打球点の高い連続攻撃で攻めて金星を挙げました。ハイリスクハイリターンなプレースタイルですが、ミスがほとんどなく、終始、素晴らしいプレーを見せてくれました。

 準決勝で敗れた及川/三部ペアは立ち上がりから流れが悪い中、なんとか打開策を見出そうとしましたが、最後まで試合の主導権をつかむことができませんでした。それだけ、明徳義塾ペアのプレーが素晴らしかったということだと思います。

 また、同じく3位に入賞した内村秀/内村英の兄弟ペアは、連係の良さに加えてフットワークを生かしたフォアハンドドライブも良く、強打を誇る松山/木造ペアにも劣らないプレーを見せてくれました。


■女子ダブルス

 決勝の平/田口ペアは、橋本/塩見の異質ラバーを駆使した回転の変化に気を付けていました。相手のプレースタイルを考えたときに、スピードの速いボールやコースを突いた攻撃で得点されることはほとんどありません。しかし、回転の変化に惑わされる可能性があるため、まず回転の変化に対応できるよう落ち着いてプレーするということを前提にして戦っていました。その落ち着きを最後まで保ち続けることができたので、勝利にもつながりました。

 自分たちが得意とする打球点の高い攻撃を封印して、相手の回転を見ながらつなぐべきところはつなぎ、打つべきところは打つという形を徹底していました。第3ゲームは勝利を焦って打ち急いでしまったがために落としてしまいましたが、第4ゲームは再び、落ち着いたプレーで相手ペアを攻略しました。特に卓球の3大要素(回転、スピード、コース)のうちのスピードとコースを重視してプレーする戦術が上手くはまっていたと思います。どのくらいのスピードでどのコースに打つのかということを特に意識していたように感じました。

 そうした平/田口の戦術に対して、橋本/塩見はなんとか対応をしようとしましたが、相手の攻撃を防ぎ切ることができませんでした。

 また、平/田口は準決勝で芝田/木村の強豪ペアをストレートで破りました。準決勝ではボールを上から押し込むことができ、自分たちのやりたい卓球ができていように思いました。反対に、芝田/木村はそれぞれの特長を生かしたプレーは光りましたが、平/田口の厳しい攻めを攻略することができませんでした。

 同じくベスト4に進出した奥下/徳持は要所で橋本のカットをオーバーミスするなどのミスが目立ちました。パートナーがつないだボールには回転が残っているので、そういったボールに対してしっかりと対処できなかったことが悔やまれますね。

 今大会を見てあらためていえることですが、女子のダブルスはお互いを信頼してしっかりとつないでいくというペアが多くなっています。各選手のブロック技術も上達しているので、一発で打ち抜くというようなことは難しいと思います。だからこそ、パートナーが打ちやすいところに返球させるようなコース取りをしていくことが大切です。そのためには優勝した平/田口ペアのように、日々の練習の中でペアの連係を深めていくことが上達に必要なことだと言えます。


渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
第52回インターハイ名古屋大会(1983年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス2位、男子ダブルス優勝
第53回インターハイ横手大会(1984年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
第54回インターハイ鶴来・野々市大会(1985年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
 


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試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
平成25年度全国高等学校総合体育大会:http://www.fukuoka-koutairen.com/2013ih/
全国高等学校体育連盟卓球専門部:http://www.koutairen-tt.net/

今大会の模様は卓球レポート10月号(9/20発売)に掲載。

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