私は中学1年の夏ごろまで野球をやってましたが、からだの故障でやめました。それからは卓球、バスケット、バレー、陸上、ハンドボール、サッカー、体操と、入部はしませんでしたが交代でクラブに行き選手たちと練習したり、試合にも参加しました。からだをつくるためにいろいろなスポーツをと思ったわけです。
2年の10月頃だったと思います。先輩からシェークハンドのラケットをもらいました。それまでは学校のラケットを借りてやってましたが、もちろんそのときは遊びのつもりで週に2回ぐらいしかやっていませんでした。野球をやめたころはバスケットにいちばん興味をもっていましたが、2年生の1月頃初めて卓球の試合に出場し、決勝まで勝ち残ったことが、私を卓球の道に進めたのだと思います。カットマンを選んだのは別に深いわけはありません。たまたま先輩からもらったラケットがシェークハンドであったからです。
◇実戦練習を主体に
3年生になってからは高校へカットマンを見に行き、カット選手のまねごとをやっていたように思います。練習内容はコートが2台しかなかったので、ゲームの勝ち抜きばかりでした。
高校に入学してからは、そのころループボールを使う選手が多かったので、ループを捕球することに夢中で、ワンクロス(バック、フォア)ばかりを3カ月もの間最後まで残って練習してました。その後は実戦練習がほとんど時間をしめていました。あとはサービスの研究、ストップボールの処理(バックハンド)、それとランニングが好きで、朝夜走っていました。筋力トレーニングのほうは昼休みに鉄棒、重量あげをやっていました。
卓球をやめたくなったときは、高校最後のインターハイのランク決定戦で完全に勝ってる試合に負けたときです。3年間がんばってきた夢は一瞬にくずれていきました。もう苦しむ卓球はやりたくない。これからは勝っても負けても楽しんでやれるような卓球をしたい、などと考えていました。大学からのさそいがありましたが、最初のうちはもう一度卓球でがんばるというより、大学生というほうに興味を持っていました。が、いざ大学に入学するとなると、私の性格が勝負ごとはどんなことでも勝たねば気がすまない性分ですので、やる以上は…と考えるようになりました。こうして私の生活から卓球をとりのぞくことができなくなりました。自分の気持ちの持ち方しだいでどうにでもなるのだ、何事でも良いほうに良いほうに考えれば、と、いまの私は考えています。
◇フットワークとコントロール
現在の練習時間は平均1日4時間です。その内容は、
1.コントロール
フォアカットの強化
(バックカットはフォアカットに比べだいたい一定したところでカットしているが、フォアカットは角度も打球点もちがいやすので)
2.フットワーク
㋑前後のフットワーク
㋺フォアクロスからの全面のフットワーク
バッククロスからの全面のフットワーク
(自分の送球はフォアクロスだけとかバッククロスだけに決め、相手には全面に打ってもらう。相手はストップ、スマッシュしてよい)
この練習のときに、どのようにしたら相手のストップが浮くか考えて、台の下でカットしたり変化をつける練習をする。ストップが浮いたら飛び込んでストレート、クロスに打つ練習も合わせてやる。
㋩左右のフットワーク
送球は一定して、相手にフォア、バックに1本交代で打ってもらい、それを、フォアカットだけとかバックカットだけで動く
3.スマッシュの捕球
㋑相手にサービスを出してもらい、それを前で適当な高さにあげてスマッシュしてもらう。それをさがって捕球する
㋺ツッツキからの強打を捕球
4.ストップボールの処理
㋑ストップをフォアまたはバックハンドで強打
5.ショート練習
(ストップをツッツキで返球。相手がドライブをかける。そのときさがってカットするとどうしてもからだのバランスがくずれるからカットのミスが出やすい。だから、ドライブをショートで返して、それから後ろにさがるようにする。そのほうが疲労度も少ない)
6.カット打ち
㋑フォアループからスマッシュ
㋺バックループからスマッシュ
このほかにゲーム練習をやります。ふだんは全体の3割ぐらいですが、試合前になるとほとんど実戦練習です。
練習のとき特に気をつけていることは、“打球感”と“距離感”を養うことです。“打球感”のほうはボールがラケットにあたった瞬間に回転やスピードを感じとって、このボールはどういうふうにして返せば低く深く入るか、ということを意識しながら、“距離感”のほうはこのボールはどれぐらいの位置でカットすればよいか、という判断力を養うようにしています。
7.トレーニング
㋑前後のダッシュ 40メートル×5往復
㋺手首の強化 鉄アレイや重いラケットで
㋩腹筋 50~100回
㋥腕立てふせ 50回を正確に深く
◇団体優勝と全日本ランク入りを目標に
今後の抱負は
○完ぺきな守備になること
○あらゆる団体戦の優勝
○まだ一度も全日本のランクに入ったことがないのでランク入りすること
○国際試合に出場すること
です。
カットマンをめざす中・高校生にひとこと。
どんなボールでも見送らないで手を出し捕球するように心がけてやること、後ろむきに走るトレーニングをやること、は特にカットマンに必要だと思います。
かさい けんじ 愛知工大4年。
裏ソフト、シェークのカットマン。
’67年世界選手権日本代表
(1968年9月号掲載)
2年の10月頃だったと思います。先輩からシェークハンドのラケットをもらいました。それまでは学校のラケットを借りてやってましたが、もちろんそのときは遊びのつもりで週に2回ぐらいしかやっていませんでした。野球をやめたころはバスケットにいちばん興味をもっていましたが、2年生の1月頃初めて卓球の試合に出場し、決勝まで勝ち残ったことが、私を卓球の道に進めたのだと思います。カットマンを選んだのは別に深いわけはありません。たまたま先輩からもらったラケットがシェークハンドであったからです。
◇実戦練習を主体に
3年生になってからは高校へカットマンを見に行き、カット選手のまねごとをやっていたように思います。練習内容はコートが2台しかなかったので、ゲームの勝ち抜きばかりでした。
高校に入学してからは、そのころループボールを使う選手が多かったので、ループを捕球することに夢中で、ワンクロス(バック、フォア)ばかりを3カ月もの間最後まで残って練習してました。その後は実戦練習がほとんど時間をしめていました。あとはサービスの研究、ストップボールの処理(バックハンド)、それとランニングが好きで、朝夜走っていました。筋力トレーニングのほうは昼休みに鉄棒、重量あげをやっていました。
卓球をやめたくなったときは、高校最後のインターハイのランク決定戦で完全に勝ってる試合に負けたときです。3年間がんばってきた夢は一瞬にくずれていきました。もう苦しむ卓球はやりたくない。これからは勝っても負けても楽しんでやれるような卓球をしたい、などと考えていました。大学からのさそいがありましたが、最初のうちはもう一度卓球でがんばるというより、大学生というほうに興味を持っていました。が、いざ大学に入学するとなると、私の性格が勝負ごとはどんなことでも勝たねば気がすまない性分ですので、やる以上は…と考えるようになりました。こうして私の生活から卓球をとりのぞくことができなくなりました。自分の気持ちの持ち方しだいでどうにでもなるのだ、何事でも良いほうに良いほうに考えれば、と、いまの私は考えています。
◇フットワークとコントロール
現在の練習時間は平均1日4時間です。その内容は、
1.コントロール
フォアカットの強化
(バックカットはフォアカットに比べだいたい一定したところでカットしているが、フォアカットは角度も打球点もちがいやすので)
2.フットワーク
㋑前後のフットワーク
㋺フォアクロスからの全面のフットワーク
バッククロスからの全面のフットワーク
(自分の送球はフォアクロスだけとかバッククロスだけに決め、相手には全面に打ってもらう。相手はストップ、スマッシュしてよい)
この練習のときに、どのようにしたら相手のストップが浮くか考えて、台の下でカットしたり変化をつける練習をする。ストップが浮いたら飛び込んでストレート、クロスに打つ練習も合わせてやる。
㋩左右のフットワーク
送球は一定して、相手にフォア、バックに1本交代で打ってもらい、それを、フォアカットだけとかバックカットだけで動く
3.スマッシュの捕球
㋑相手にサービスを出してもらい、それを前で適当な高さにあげてスマッシュしてもらう。それをさがって捕球する
㋺ツッツキからの強打を捕球
4.ストップボールの処理
㋑ストップをフォアまたはバックハンドで強打
5.ショート練習
(ストップをツッツキで返球。相手がドライブをかける。そのときさがってカットするとどうしてもからだのバランスがくずれるからカットのミスが出やすい。だから、ドライブをショートで返して、それから後ろにさがるようにする。そのほうが疲労度も少ない)
6.カット打ち
㋑フォアループからスマッシュ
㋺バックループからスマッシュ
このほかにゲーム練習をやります。ふだんは全体の3割ぐらいですが、試合前になるとほとんど実戦練習です。
練習のとき特に気をつけていることは、“打球感”と“距離感”を養うことです。“打球感”のほうはボールがラケットにあたった瞬間に回転やスピードを感じとって、このボールはどういうふうにして返せば低く深く入るか、ということを意識しながら、“距離感”のほうはこのボールはどれぐらいの位置でカットすればよいか、という判断力を養うようにしています。
7.トレーニング
㋑前後のダッシュ 40メートル×5往復
㋺手首の強化 鉄アレイや重いラケットで
㋩腹筋 50~100回
㋥腕立てふせ 50回を正確に深く
◇団体優勝と全日本ランク入りを目標に
今後の抱負は
○完ぺきな守備になること
○あらゆる団体戦の優勝
○まだ一度も全日本のランクに入ったことがないのでランク入りすること
○国際試合に出場すること
です。
カットマンをめざす中・高校生にひとこと。
どんなボールでも見送らないで手を出し捕球するように心がけてやること、後ろむきに走るトレーニングをやること、は特にカットマンに必要だと思います。
かさい けんじ 愛知工大4年。
裏ソフト、シェークのカットマン。
’67年世界選手権日本代表
(1968年9月号掲載)