~スマッシュ主体の練習をがむしゃらにやった中・高校時代~
私が初めてラケットを手にしたのは、小学校5年生のときでした。そのころから卓球のおもしろさにとりつかれ、友だちを誘って卓球クラブに入部し、毎日練習をするようになりました。
明治中学・高校時代になりますと、0Bの間宮隆樹さんという方と数名のOBの方々に、指導を受けておりました。このOBの人たちの方針としては、将来大学で通用するための卓球として、中学1年生の頃からスマッシュ主体の卓球をしていかなければならないということで育ててもらいました。同時に学校の練習を終えてから日暮里のアームストロングに通い、一般の選手や大学生にまざって練習をしたことが、今日たいへんプラスになっていると思っております。
~高島選手の卓球に対する情熱をみて気持ちが変わった~
大学に入学してからは、児玉圭司さん、監督の四ヶ所喜太郎さんの指導のもとで練習をしておりますが、がむしゃらに練習をやっていた高校時代と違って、あらゆる高度な技術の要求を必要と感じ、たくさんの先輩との接触から取捨選択をするように心がけました。
そのような刺激を求めているうちに、1年生の夏、名古屋で行われたアジア選手権強化合宿のトレーナーとして、一緒に参加した高島さん(近大出身)と運よく知り合い合宿をしているうちに、高島さんの卓球にかける情熱を見、自分の卓球に対する姿勢の甘さに情けなくなりどうせやるのなら世界の檜舞台でプレーしようという強い気持ちに変わってきました。
大学1年の11月にあった日中対抗に出場し、私は7連敗をきっしました。精神的に崩れてしまった私は、何とか立ち上がるきっかけを作ろうと考え、高島さんに相談すると、全日本選手権の前に熱海で自主合宿を行う、ということで合宿に参加させてもらいました。その合宿はとても厳しく、特に合宿の世話をしてもらった樋口先生に、私の精神的な弱さをはっきり指摘され、それからはそれを克服するという大きな目標が私の心の支えとなりました。
このような尊敬できる良き先生や高島さんという良き先輩にめぐり逢えたことが、私のその後の卓球人生に光明を与えてくれたと思っております。
~基本を忠実に守ることに気をつけて練習~
現在の私の練習は下級生の頃から「基本に忠実」ということでやってきましたが、どうも自分の"勘"に頼ってプレーしてしまうことに気がつき、これが自分の技術的進歩をストップさせている状態にあると考えました。将来、私が強くなっていくためには、己の心に勝つ責任あるプレーをし、一歩一歩目標に向かって前進するという心境になりました。私は4年生になってからは、基本の第一歩からやり直すということで、次のようなことに注意し練習しております。
1)球を見る ア.相手全体のモーションを見る
イ.相手のインパクトを見る
ウ.バウンドしてきてからのボールを見る
エ.同時に相手の作戦や心理をさぐる
2)正確にフットワークをする
3)世界的な場においても、通用する卓球でなければならない
以上3つの基本的なことを考え、気を配り練習をしております。また、幸いに日中対抗の出場や朝鮮・欧州への遠征をさせていただいた経験から、
<1>新しいサービスの工夫
<2>レシーブの確立化
<3>バックサイドの強化
この3点が自分にとって必要であると感じ、技術的課題として特に力を注いでおります。
~速い動きの必要性とその応用練習~
これらの主な練習方法として、現在行っているものは、
1)相手にショートでランダムにまわしてもらい、それを出来るだけフォアハンドで強打していく練習。これは球を見るということと、正確にフットワークをするということで、自分の卓球の土台となる練習であります。また、中国の速攻・ヨーロッパのハーフボレーに対しては当然速い動きが要求されてきますので、その対策としても役立てる考えです。
この練習の注意する点としては、速く動いて打っている間に平行スタンスになりがちですので、なんとか左足を踏み込ませるようにすることです。同時に呼びもどし(もどり)をしっかりさせ、なるべく速く基本姿勢にもどるようにします。また、打球点を出来るだけ一定にし、自分が強打したボールに対して相手のショートがどのように変化してくるかを見て打ちます。
2)自分は相手コートのワンサイドにボールを集中させ相手にランダムに打ってもらうドライブの引き合い練習(フォアハンドのみでなくバックハンドも使っていく)この練習はヨーロッパの選手のようなパワードライブに圧倒されないだけのドライブ技術を備えて、自分のペース(スマッシュに結びつけられるように)に出来るようにしなければならないということからやっております。この練習においては平常より台から離れてプレーするので、大きく広いスタンスにしてどっしり構え、フォーム全体を大きくしてスイングすることが必要となってきます。この中陣ドライブの引き合う練習は、伊藤繁雄さんのドライブを参考にしてやっております。
伊藤さんの中陣ドライブの仕方は、相手のボールが自分のコートに入ってきたとき、バックスイングをとりはじめ、そのバックスイングをとる引きの速さの反動を利用してドライブしています。
最近、伊藤さんに教えていただく機会がありますので、このバックスイングの引き方やスタンスの取り方、重心の移動の仕方について学んで行きたいと思っております。
3)ネットプレーの練習として私のとっている方法は、卓球台のネット際に半径10cmくらいの円を書き、その円の中へ、払ったりストップやツッツキをして入れ、ラリーを続ける練習です。これは少しでもグリップや腕に余計な力が入ったりしますと円からはみ出してしまうので、指の先まで神経の集中を要します。この練習の方法で小さいコース・低い球・切れている・ナックルといった器用さを深めていくことが出来ると思います。
また、この練習は相手の変化を正確に見る目がなければならないネットプレーの練習ですので、自分の全神経をとぎ澄ましてやることで効果が出ます。
以上、1).2).3)の練習の他に私は毎日、自分に必要なシステム練習を取り入れてやっております。
トレーニングとしては、現在、合宿所(平沼園)に入っておりますので、毎朝7時に起床して3~5kmのランニングを全員でやっております。
その他、自主トレーニングとしてサーキットトレーニング・ダッシュ・ウサギ飛び・腕立て伏せ・腹筋等が主なものです。今後も、これらのトレーニングの重要性を把握していくと共に自分を戒め妥協しないで続けていくことが、自分の体力の向上と持続性につながると思います。
以上、先にも述べましたように下級生の頃、"勘"に頼り過ぎるプレーをしていた結果として、当然勝てるべき試合をとりこぼしたことがありますので、堅実で緩(ゆる)みのない精神でいかなる場合でもベストを尽くせる心用意を常にもって練習をし努力している最中であります。
まえはらまさひろ 明治大学4年
1975年東日本学生チャンピオン
(1975年11月号掲載)
私が初めてラケットを手にしたのは、小学校5年生のときでした。そのころから卓球のおもしろさにとりつかれ、友だちを誘って卓球クラブに入部し、毎日練習をするようになりました。
明治中学・高校時代になりますと、0Bの間宮隆樹さんという方と数名のOBの方々に、指導を受けておりました。このOBの人たちの方針としては、将来大学で通用するための卓球として、中学1年生の頃からスマッシュ主体の卓球をしていかなければならないということで育ててもらいました。同時に学校の練習を終えてから日暮里のアームストロングに通い、一般の選手や大学生にまざって練習をしたことが、今日たいへんプラスになっていると思っております。
~高島選手の卓球に対する情熱をみて気持ちが変わった~
大学に入学してからは、児玉圭司さん、監督の四ヶ所喜太郎さんの指導のもとで練習をしておりますが、がむしゃらに練習をやっていた高校時代と違って、あらゆる高度な技術の要求を必要と感じ、たくさんの先輩との接触から取捨選択をするように心がけました。
そのような刺激を求めているうちに、1年生の夏、名古屋で行われたアジア選手権強化合宿のトレーナーとして、一緒に参加した高島さん(近大出身)と運よく知り合い合宿をしているうちに、高島さんの卓球にかける情熱を見、自分の卓球に対する姿勢の甘さに情けなくなりどうせやるのなら世界の檜舞台でプレーしようという強い気持ちに変わってきました。
大学1年の11月にあった日中対抗に出場し、私は7連敗をきっしました。精神的に崩れてしまった私は、何とか立ち上がるきっかけを作ろうと考え、高島さんに相談すると、全日本選手権の前に熱海で自主合宿を行う、ということで合宿に参加させてもらいました。その合宿はとても厳しく、特に合宿の世話をしてもらった樋口先生に、私の精神的な弱さをはっきり指摘され、それからはそれを克服するという大きな目標が私の心の支えとなりました。
このような尊敬できる良き先生や高島さんという良き先輩にめぐり逢えたことが、私のその後の卓球人生に光明を与えてくれたと思っております。
~基本を忠実に守ることに気をつけて練習~
現在の私の練習は下級生の頃から「基本に忠実」ということでやってきましたが、どうも自分の"勘"に頼ってプレーしてしまうことに気がつき、これが自分の技術的進歩をストップさせている状態にあると考えました。将来、私が強くなっていくためには、己の心に勝つ責任あるプレーをし、一歩一歩目標に向かって前進するという心境になりました。私は4年生になってからは、基本の第一歩からやり直すということで、次のようなことに注意し練習しております。
1)球を見る ア.相手全体のモーションを見る
イ.相手のインパクトを見る
ウ.バウンドしてきてからのボールを見る
エ.同時に相手の作戦や心理をさぐる
2)正確にフットワークをする
3)世界的な場においても、通用する卓球でなければならない
以上3つの基本的なことを考え、気を配り練習をしております。また、幸いに日中対抗の出場や朝鮮・欧州への遠征をさせていただいた経験から、
<1>新しいサービスの工夫
<2>レシーブの確立化
<3>バックサイドの強化
この3点が自分にとって必要であると感じ、技術的課題として特に力を注いでおります。
~速い動きの必要性とその応用練習~
これらの主な練習方法として、現在行っているものは、
1)相手にショートでランダムにまわしてもらい、それを出来るだけフォアハンドで強打していく練習。これは球を見るということと、正確にフットワークをするということで、自分の卓球の土台となる練習であります。また、中国の速攻・ヨーロッパのハーフボレーに対しては当然速い動きが要求されてきますので、その対策としても役立てる考えです。
この練習の注意する点としては、速く動いて打っている間に平行スタンスになりがちですので、なんとか左足を踏み込ませるようにすることです。同時に呼びもどし(もどり)をしっかりさせ、なるべく速く基本姿勢にもどるようにします。また、打球点を出来るだけ一定にし、自分が強打したボールに対して相手のショートがどのように変化してくるかを見て打ちます。
2)自分は相手コートのワンサイドにボールを集中させ相手にランダムに打ってもらうドライブの引き合い練習(フォアハンドのみでなくバックハンドも使っていく)この練習はヨーロッパの選手のようなパワードライブに圧倒されないだけのドライブ技術を備えて、自分のペース(スマッシュに結びつけられるように)に出来るようにしなければならないということからやっております。この練習においては平常より台から離れてプレーするので、大きく広いスタンスにしてどっしり構え、フォーム全体を大きくしてスイングすることが必要となってきます。この中陣ドライブの引き合う練習は、伊藤繁雄さんのドライブを参考にしてやっております。
伊藤さんの中陣ドライブの仕方は、相手のボールが自分のコートに入ってきたとき、バックスイングをとりはじめ、そのバックスイングをとる引きの速さの反動を利用してドライブしています。
最近、伊藤さんに教えていただく機会がありますので、このバックスイングの引き方やスタンスの取り方、重心の移動の仕方について学んで行きたいと思っております。
3)ネットプレーの練習として私のとっている方法は、卓球台のネット際に半径10cmくらいの円を書き、その円の中へ、払ったりストップやツッツキをして入れ、ラリーを続ける練習です。これは少しでもグリップや腕に余計な力が入ったりしますと円からはみ出してしまうので、指の先まで神経の集中を要します。この練習の方法で小さいコース・低い球・切れている・ナックルといった器用さを深めていくことが出来ると思います。
また、この練習は相手の変化を正確に見る目がなければならないネットプレーの練習ですので、自分の全神経をとぎ澄ましてやることで効果が出ます。
以上、1).2).3)の練習の他に私は毎日、自分に必要なシステム練習を取り入れてやっております。
トレーニングとしては、現在、合宿所(平沼園)に入っておりますので、毎朝7時に起床して3~5kmのランニングを全員でやっております。
その他、自主トレーニングとしてサーキットトレーニング・ダッシュ・ウサギ飛び・腕立て伏せ・腹筋等が主なものです。今後も、これらのトレーニングの重要性を把握していくと共に自分を戒め妥協しないで続けていくことが、自分の体力の向上と持続性につながると思います。
以上、先にも述べましたように下級生の頃、"勘"に頼り過ぎるプレーをしていた結果として、当然勝てるべき試合をとりこぼしたことがありますので、堅実で緩(ゆる)みのない精神でいかなる場合でもベストを尽くせる心用意を常にもって練習をし努力している最中であります。
まえはらまさひろ 明治大学4年
1975年東日本学生チャンピオン
(1975年11月号掲載)