卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
今回からは、「100年に一度の大激戦」として卓球ファンの間で語り継がれる2001年世界卓球選手権(以下、世界卓球)大阪大会男子団体準決勝の中国対韓国戦を全試合お届けする。
初めに、トップの劉国正(中国)対呉尚垠(韓国)の試合を紹介しよう。
※当時の団体戦のルールは1ゲーム21ポイント制の3ゲームスマッチ。サービスは5本交替
■ 観戦ガイド
40ミリボール初の世界卓球
球史に残る一戦は、劉国正対呉尚垠で幕が開く
2001年に大阪で行われた世界卓球は、ボールの大きさがそれまでの38ミリから40ミリへ変更になったメモリアルな大会として知られる。
このルール改定は、卓球がもっと魅力的な競技になるよう、ラリー回数を増やし、ラリーの内容もダイナミックになることを主な目的としたものだが、男子団体準決勝の中国対韓国は、その狙いがまさに当たった試合になった。
世界卓球大阪大会男子団体で準決勝まで順当に勝ち上がってきた中国は、現代においても世界最強だが、2001年当時は今にも増して強かった。
前年の2000年に行われたシドニーオリンピック男子シングルスで金メダルを獲得し、国民的英雄として中国全土からたたえられた孔令輝を筆頭に、1996年アトランタオリンピック男子シングル金メダルの劉国梁、当時世界ランキング1位の王励勤らをそろえたまさにドリームチームで、どこにも隙がない。
加えて、中国は前年に行われた2000年世界卓球クアラルンプール大会男子団体決勝でスウェーデンによもやの敗戦を喫しており、王座奪還に燃えていた。
対する韓国は、大黒柱の金擇洙を中心に、伸び盛りの呉尚垠、柳承敏ら若手中心の布陣で中国に挑む。
1998年アジア競技バンコク大会男子シングルスを制すなど、実績と実力を兼ね備えたエースの金は中国の誰に対しても互角に渡り合えるが、呉尚垠、柳承敏がどこまで迫れるかは未知数で、韓国が中国から3点を奪うのは至難だ。
そう誰もが予想する中、韓国は持ち前の大舞台での爆発力を発揮して中国に迫り、試合は「1961年以来全ての世界卓球選手権大会を見てきたが、これほどすごい戦いは見たことがない」と当時の中国選手団団長だった李富栄がうなったほど、もつれにもつれていく。
決勝進出をかけた重要な一戦のトップ、中国は、オランダとの2回戦で敗れた劉国梁、準々決勝のドイツ戦でボルに敗れた王励勤をオーダーから外し、躍動感あふれるプレーで成長著しい劉国正を起用してきた。
一方の韓国は、恵まれた体格から繰り出す強烈な両ハンドドライブで「アジアの大砲」と呼ばれた呉尚垠で先制点を狙う。
(文中敬称略)
(文/動画=卓球レポート)