卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
今シリーズは、「RISING Zhang Jike!」と題し、チキータを武器に世界の頂点へと駆け上がった張継科（中国）の名勝負の数々をお届けしている。
今回は、ガルドシュ（オーストリア）との2013年世界卓球選手権（以下、世界卓球）パリ大会男子シングルス4回戦を紹介しよう。
■ 観戦ガイド
樊振東を圧倒して完全に流れに乗った張継科
4回戦で欧州の実力者・ガルドシュを迎え撃つ
2011年世界卓球ロッテルダム大会男子シングルス優勝や2012年ロンドンオリンピック男子シングルス金メダルなど、ビッグタイトルを総なめにしていた張継科だったが、多忙や故障などから不振が続き、2013年世界卓球パリ大会の前評判は芳しくなかった。
しかし、パリ大会前、劉国梁監督と長い時間をかけて対話し、モチベーションを取り戻したという張継科は、一人静かに飢えを養っていた。
男子シングルス3回戦で次期中国のエース候補として期待される樊振東（中国）をストレートで圧倒した張継科は、順当にベスト16へと勝ち上がる。
樊振東との試合をコートサイドで見ていたが、この時の張継科は、王者として新鋭には負けられないという意地からなのか、カチッという音が聞こえた気がするほどプレーのスイッチが入り、一分の隙も見当たらないほど強かった。パリ大会における張継科は、この一戦によってプレーのレベルが引き上がり、完全に乗ったといえるだろう。
張継科の4回戦の相手は、オーストリアのガルドシュだ。
ガルドシュは、シングルスでのビッグタイトルこそないが、ヨーロッパでは実力者として知られる選手で、ヨーロッパ選手にしては珍しく、台からあまり下がらず、前陣での打球点の早いプレーを得意とする。加えて、相手が誰であろうと全力で向かっていくことができるメンタルもガルドシュの強さで、張継科にとっては侮れない相手だ。
試合が始まると地力で勝る張継科が第1ゲームを先制するが、ガルドシュが持ち前の気迫でパリの観衆を沸かせるようなプレーを連発し、追いすがる。
リスクを負ってぶつかっていくガルドシュと、それを上から抑え込もうとする張継科のダイナミックな攻防が楽しめる好試合だ。
（文/動画＝卓球レポート）
