卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
このシリーズでは、9月に韓国の平昌で開催された第26回アジア卓球選手権大会（以下、アジア選手権）での熱戦をセレクトして紹介する。
今回の名勝負は、早田ひな（日本）対李恩慧（イ・ウンヘ／韓国）の女子シングルス2回戦をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
韓国の伏兵に思わぬ苦戦を強いられるも
早田が日本のエースとしての底力を見せる
世界の卓球界の勢力図はアジア勢がリードしているが、特に女子においては世界卓球2023ダーバン女子シングルスでベスト8に勝ち上がった選手のうち、7人がアジア選手（唯一アジア勢以外で8強入りしたドイツのハン・インも元々はアジア出身）という結果が示す通り、アジア勢の力が突出している。
そのため、女子シングルスは早いラウンドから実力者同士のハイレベルな試合がそこかしこで見られたが、今回取り上げる早田ひな（日本）対李恩慧（韓国）の2回戦もそのうちの1試合だ。
世界卓球2023ダーバンで銅メダルを獲得した球史に残る激闘が記憶に新しい早田は、強豪ひしめくアジア選手権でもメダル獲得の有力候補として女子シングルスに臨んだ。パリ五輪の国内選考レースでも独走状態の早田は、今やスター選手がひしめく日本女子の中でもエースと呼んで差し支えないだろう。
その早田が初戦となる2回戦で対戦するのが、李恩慧（韓国）だ。聞きなじみのない選手名に、早田の3回戦進出は堅いと思われたが、思わぬ苦戦を強いられることになる。
李恩慧は中国河北省出身の帰化選手で、戦型は両面に裏ソフトラバーを貼るシェーク攻撃型の選手だ。2022年WTTフィーダー オロモウツで女子シングルス2位という成績がある。Tリーグ2022−2023シーズンに木下アビエル神奈川に登録したものの出場機会は少なく、そのプレーは未知数である。中国からの帰化選手であることに加え、強豪韓国の国内ランキングで3位につけて地元開催のビッグトーナメントにエントリーしていることから、力があることは予想できた。
とはいえ、これまでの実績を踏まえると、早田の勝ちは揺るがないだろう。そんな見立てで始まった試合だったが、早田は李恩慧の変化の激しいサービスから打球点の早い両ハンドで押し込まれ、競り合いの末に第1ゲームを奪われると、第2ゲームも主導権を握られる苦しい展開に陥る。
思わぬ伏兵の出現に場内がざわつく中、しかし、早田は慌てずに突破口を探り、徐々に主導権をたぐり寄せてゆく。
（文中敬称略）
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（文/動画＝卓球レポート）
