卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
このシリーズでは、9月に韓国の平昌で開催された第26回アジア卓球選手権大会(以下、アジア選手権)での熱戦をセレクトして紹介する。
今回の名勝負は、安宰賢(韓国)対グナナセカラン(インド)の男子シングルス3回戦をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
強打の安宰賢VS知略のグナナセカラン
好対照な両者の競り合いの行方は?
前回の田中佑汰(日本)対王楚欽(中国)は会場中を、引いては世界中の卓球ファンをうならせたが、アジアの強豪がそろう男子シングルスのトーナメントでは、ほかにも早いラウンドから熱戦が相次いだ。
3回戦の最激戦マッチが、安宰賢(韓国)対グナナセカラン(インド)だ。
開催地である韓国代表の安宰賢は、驚異的なフットワークを生かしたフォアハンド攻撃を得意とするパワーヒッターだ。世界卓球2019ブダペスト男子シングルスでは、ノーマークながら張本智和(日本)や先輩の張禹珍(韓国)ら強敵を連破して銅メダルを獲得した結果が示すように、安宰賢には爆発力があり、世界のトップ選手たちの間では危険な選手としてマークされている。
一方のグナナセカランは、安宰賢とは対照的に球威はそれほどないものの、巧みな技術の組み合わせやコース取り(特集「グナナセカラン徹底分析!」)で世界のトップに登ってきた選手だ。その頭脳的なプレーで、これまで数々の強豪をわなにはめ、沈めてきた。
戦国時代の猛将のように強攻が得意な安宰賢と、軍師さながらに策をめぐらせて相手の良さを封じるプレーを得意とするグナナセカラン。好対照の両者の一戦は、グナナセカランが多彩なサービスとブロックで安宰賢の強打を巧みに封じる一方、思うようにフォアハンドで強打できない安宰賢が耐える展開へともつれていく。
強打者と対戦したときのグナナセカランのコース取りや、得意な展開にならないときの安宰賢の戦い方など、試合でライバルに競り勝つための示唆がたくさん得られる名勝負だ。
(文中敬称略)
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(文/動画=卓球レポート)