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卓レポ名勝負セレクション 
世界卓球2024釜山の軌跡 Select.3 
王曼昱(中国) 対 A.ムカジー(インド)

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今シリーズでは、2月に韓国の釜山で開催された第57回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2024釜山)で繰り広げられた激闘の軌跡をたどる。
 第3回は、女子団体グループリーグ中国対インドの5番、王曼昱(中国)対A.ムカジー(インド)の名勝負をお届けしよう。

■ 観戦ガイド
変化王国インドにラストまで迫られた中国
王曼昱は、魔術師A.ムカジーから最後の砦を守るか

 世界卓球2024釜山のオープニングマッチとなった中国対インドは、中国が満を持して先陣を任せたエースの孫穎莎がA.ムカジーに敗れる波乱の展開で幕が開いた。2番は王曼昱がバトラを下して追い付くも、3番で王芸迪がアクラによもやのストレート負けを喫し、インドが勝利に王手をかける。
 しかし、最強王国として初戦で負けるわけにはいかない中国は、4番で孫穎莎が気迫のプレーでバトラを下して追い付くと、勝敗の行方はラストの5番に委ねられた。

 5番は中国が王曼昱、インドはA.ムカジー。
 王曼昱は世界卓球2021ヒューストン女子シングルス優勝の実績を持ち、リーチの長さを生かした隙のない両ハンド攻守が持ち味だ。2番でインドのエースであるバトラを下した試合を見る限り、気迫十分でプレーも安定感がある。
 対するA.ムカジーは、フォア面に表ソフトラバー、バック面にアンチラバー(摩擦力が少なく、相手の回転の影響を受けにくいラバー)を貼るシェーク異質型で、その魔術のような変化プレーのすごさはトップで孫穎莎を下したことで証明済みだ。

 名実ともに王曼昱が上回っているが、そんな下馬評があてにならないことはA.ムカジーがトップで体現している。多少の力の差はないに等しい団体戦のラスト、王曼昱が少しでも弱気になればA.ムカジーの変化にはまり、中国が初戦で黒星を喫するのではないか。
 場内が波乱の予感に包まれる中で始まった試合は、最強の看板を一身に背負った王曼昱が最後の砦を守るべく、A.ムカジーの激しい変化に気迫で食らいついていく。

 1番の孫穎莎はA.ムカジーの変化をパワーで強引に押し切ろうとして、のみ込まれた。一方、この試合の王曼昱はA.ムカジーの変化に最後まで戸惑いながらもフォア側を中心に我慢強くボールを返し、自分から攻めるだけでなく、相手のミスを引き出して得点を重ねている。
 王曼昱と孫穎莎のA.ムカジーに対する戦い方は対照的で、イソップ童話の有名な一篇である「北風と太陽」を想起させる。
 この名勝負を見終わったら、ぜひ1番のA.ムカジー対孫穎莎を見返してみてほしい。双方の名勝負を見比べれば、より卓球の面白さ、奥深さに気づかされるはずだ。
(文中敬称略)

↓動画はこちら

(文/動画=卓球レポート)

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