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卓レポ名勝負セレクション 
世界卓球2024釜山の軌跡 Select.18 
A.ディアス(プエルトリコ) 対 申裕斌(韓国)

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今シリーズでは、2月に韓国の釜山で開催された第57回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2024釜山)で繰り広げられた激闘の軌跡をたどる。
 今回は、女子団体グループリーグの韓国対プエルトリコの2番、A.ディアス(プエルトリコ)対申裕斌(韓国)の名勝負をお届けしよう。

■ 観戦ガイド
A.ディアスが自由奔放なプレーで
地元期待の申裕斌の両ハンドを押さえ込む

 世界中からトップ選手たちが一堂に会する世界卓球では、前回取り上げた黄鎮廷(香港)対モーレゴード(スウェーデン)同様、女子もタレント同士の注目の対戦が随所で行われていた。
 その中から、今回はA.ディアス(プエルトリコ)対申裕斌(韓国)の一戦をお届けしよう。

 A.ディアスは、卓球強国とはいえないプエルトリコから突如として世界のトップシーンに躍り出てきた選手だ。生来のボールタッチの良さを下地としたはじくバックハンドと強力なフォアハンドが大きな得点源だが、女子選手が前陣に固執する傾向にある中、フィッシュ(相手の攻撃を台から離れて低い軌道でしのぐ技術)やロビング(相手の攻撃を台から離れて高い軌道でしのぐ技術)も積極的に取り入れる自由奔放なプレーを持ち味にする。

 対する申裕斌は、強豪韓国において幼少の頃から天才少女として注目を集めてきた選手だ。恵まれた体格から繰り出される両ハンドは威力と安定感を兼ね備えており、そのプレースタイルは中国のトップ選手たちをほうふつとさせる。
 19歳とまだ若いが、世界卓球2023ダーバン女子ダブルス準優勝を筆頭に国際大会で数々の結果を残しており、実績は十分だ。

 世界ランキングはA.ディアスが11位で申裕斌が8位。実力伯仲の両者だが、地元開催の利がある申裕斌が優位か。
 そんな見立てて始まった試合は、A.ディアスがトリッキーな台上技術やロビング、狙い澄ました強打など、多彩なプレーで韓国のホープを引き離していく。

 A.ディアスは、卓球レポートで以前に行ったインタビューで「私は小さい頃から父に『結果はどうでもいい、どう戦うかが重要だ』と言い聞かされてきたので、戦うことに集中して、自分のベストを尽くしてきました。戦うことに集中して、自分のベストを尽くしていれば、結果のことなんて忘れてしまいます。もし、『勝たなければ』とか『負けるわけにはいかない』と考えてしまったなら、それは既に間違いです。まだ、勝つことも負けることも起こっていないのですから。だから、私は、ただ戦い、ただ卓球台について、ただプレーを楽しみ、ただ国の代表選手であればいいのです」と自身の試合中のメンタルのありようについて語っている。
 この言葉通り、試合に没入し、楽しみながら、女子選手としては異様ともいえるテクニックを次々と繰り出すA.ディアスのプレーからは、大きなインスピレーションが得られるはずだ。
(文中敬称略。年齢、世界ランキングは大会時)

↓動画はこちら

(文/動画=卓球レポート)

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