卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
今シリーズでは、2月に韓国の釜山で開催された第57回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2024釜山)で繰り広げられた激闘の軌跡をたどる。
今回は、男子団体準々決勝の韓国対デンマークの4番、林鐘勳(韓国)対グロート(デンマーク)の名勝負をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
林鐘勳が頭脳的なサービスの配球で
台上の業師グロートの技巧に挑む
メダルを懸けた韓国対デンマークの準々決勝、1番は林鐘勳(韓国)がリンド(デンマーク)を下して韓国が先制するが、2番はグロート(デンマーク)が張禹珍(韓国)に丁寧な台上プレーからの両ハンドで勝利し、デンマークが追い付く。
1対1で迎えた3番は、世界卓球2019ブダペスト男子シングルス3位の安宰賢(韓国)がアンデルセン(デンマーク)をストレートで退け、韓国が2対1と王手をかけて4番の林鐘勳(韓国)対グロート(デンマーク)のエース対決を迎えた。
ここまで韓国は張禹珍をエースに起用してきたが、世界卓球2023ダーバンで張禹珍がリンドに敗れている結果を考慮しての駆け引きなのか、韓国はこのデンマーク戦では張禹珍を2番手に下げ、林鐘勳をエースに抜てきしてきた。
林鐘勳はサウスポー(左利き)のシェーク攻撃型で、伝統的にハードトレーニングを下地としたパワーヒッターを輩出する韓国にあって、前陣での両ハンドプレーを得意とする。1番でリンドを下したチキータからの速攻プレーはさえており、勢いは十分だ。
一方、グロートとリンドの2枚看板を変幻に使い分けるオーダーでここまで勝ち上がってきたデンマークは、この韓国戦ではグロートをエース使いしてきた。2番で張禹珍を沈めた台上からの展開力と剛柔自在の両ハンドは秀逸で、グロートの状態も林鐘勳に引けを取らない。
林鐘勳が勝って韓国のメダルを決めるのか。グロートがまたしても充実のプレーを見せてデンマークが2対2に追い付くのか。
注目のエース対決は、グロートが持ち味のストップとディープツッツキ主体の丁寧な台上プレーでペースを握り、第1ゲームを先取する。
グロートの巧みな台上プレーの前に思うように速攻を仕掛けられない林鐘勳だったが、しかし、第2ゲームからサービスをグロートのフォア前にしつこく集め、相手のレシーブを限定しつつ、レシーブに慣れる大胆な戦術転換でペースを握り返してゆく。
(文中敬称略)
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(文/動画=卓球レポート)