今回の達人 平野友樹(協和発酵キリン)
勝つために欠かせないテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。第2回は、スピードドライブに対するフォアハンドのカウンタードライブを究めるポイントを、平野友樹選手(協和発酵キリン)が伝授してくれる。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています
ドライブが攻撃手段の柱になっている今の卓球では、ドライブを磨くことはもちろんだが、相手のドライブをドライブで打ち返すカウンタードライブを身に付けることも必須だ。今回は、クロス(右利きの相手のバック側)にバックハンドで打球した後、フォア側に来たドライブをフォアハンドでカウンタードライブするケースを例に挙げて、平野選手がポイントを教えてくれた。
【究めるポイント①】 素早い判断とコンパクトな準備
達人からのアドバイス
相手のドライブをカウンタードライブするときは、時間の余裕がありません。そのため、カウンタードライブを成功させるには、コンパクトに準備することが先決です。
バックハンドでクロスに打球した後、相手がこちらのフォア側にドライブしてくると分かり、そのドライブをカウンタードライブすると決めたら、右足をフォア側に運び、わきを大きく空けすぎないよう注意してバックスイングします。そうして、相手のドライブに対して振り遅れないようラケットをコンパクトに引きましょう。
【究めるポイント②】 体の近くで打球する
達人からのアドバイス
相手のドライブに対してコンパクトに準備したら、ラケットを斜め上にコンパクトに振り抜き、ドライブをかけ返します。
カウンタードライブを成功させるためには、相手のドライブの回転を上回るような回転をかける必要があります。そのためには、「体の近くで打球する」ことが大きなポイントです。そうすると、コンパクトなスイングでも力が入るので、相手の回転を上回るような回転がかけやすいでしょう。右足をフォア側に素早く運んでひじにゆとりをつくり、できるだけ体の近くでカウンタードライブしてください。
【究めるポイント③】 打球面をしっかり開く
達人からのアドバイス
カウンタードライブを成功させるためには、「打球面を開く」ことも大切なポイントです。打球面を開くと、ボールの正面を捉えやすくなり、それに伴って「打球が正確になる」「スイングの力をボールに伝えやすい」などのメリットが生まれます。このとき、打球面を閉じてしまうと、ボールの右(外側)を捉えやすくなってしまうため、打球が安定しません。カウンタードライブするときは、打球面をしっかり開き、ボールの正面または少し左(内側)を打つように心掛けましょう。
【究める練習方法】 バック対バックから
フォア側に来たドライブをカウンタードライブするシステム練習
達人からのアドバイス
最後に、カウンタードライブの精度を高めるために効果的な練習方法を紹介します。
上に紹介している練習は、バック対バックを何回か続けた後、どのタイミングでも構わないので相手がバック側に回り込み、ストレート(こちらのフォア側)にフォアハンドドライブします。そのドライブを全面にカウンタードライブしてフリーになるシステム練習です。選手としては、バック側に回り込んだら1発で決めたい心理が働くので、得点率が高いストレートを狙いたくなるものです。そのため、この練習に取り組むと、試合で使えるカウンタードライブを身に付けることができます。
ポイントは、常にバック側にボールが来ることを想定した上で、フォア側に来たドライブに反応することです。フォア側にヤマを張ってしまうと、仮にバック側にボールが来たときにうまく対応できなくなるので注意してください。
これからカウンタードライブを覚えようとする選手は、相手が回り込むタイミングを決めて行うとよいでしょう。そうしてコツをつかんだら、回り込むタイミングをランダムにして難度を上げてください。
(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)