今回の達人 高木和卓(東京アート)
勝つためのテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。第10回は高木和卓選手(東京アート)が、ツッツキに対するバックハンドドライブを究めるポイントを伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています
ラリーの主導権を握るための起点になる技術は多々あるが、ツッツキ(下回転のボール)に対するバックハンドドライブもその一つだ。ツッツキに対して、フォアハンドだけでなく、バックハンドでも安定してドライブで攻撃できると、戦い方の幅は大きく広がるだろう。
今回は、ラリー戦にめっぽう強い高木和選手が、ツッツキに対するバックハンドドライブを究めるためのポイントを教えてくれた。
【究めるポイント①】
スタンスを広く取り
姿勢を低くする
達人からのアドバイス
ツッツキをバックハンドドライブするときは、ボールをこすり上げやすいように低い姿勢で打球準備してください。両足を大きく開いてスタンス(足の構え)を肩幅よりも広く取ったら、両足のひざを曲げ、低い姿勢でボールを打つ準備をしましょう。
【究めるポイント②】
準備でつくった足の形を保ち
ボールを引きつけてからこすり上げる
達人からのアドバイス
姿勢を低くし、ラケットを体の正面あたりに準備したら、ラケットの先を自分の方へ向けるように手首をひねってボールよりも低い位置にラケットを引きます。そうして、ひねった手首を返しながらラケットを斜め上に振り上げ、ボールの正面より少し上を強くこすり上げるように打ちます。
この技術を安定させるコツは、大きく二つです。
一つは、「バックスイングの足の形を保ってスイングする」ことです。バックスイングした時のスタンスの広さやひざの角度を保ったままスイングすることを心掛けてください。そうすると、ラケットをスムーズに動かすことができるので思い通りのボールを打つことができるでしょう。
もう一つのポイントは、「ボールを引きつける」ことです。バウンドの頂点から少し落ちたあたりまでボールを引きつけると、ボールをこすり上げるように打ちやすくなります。
【究めるポイント③】
相手コートの中央あたりを
狙って安定性アップ
達人からのアドバイス
ツッツキに対するバックハンドドライブの安定性を高めるには、「相手コートの中央あたり(ネットと相手コートのエンドラインの中間付近)を狙う」ことも大きなポイントです。厳しいボールを送ろうとして相手コートの深いところを狙うと、どうしてもオーバーミスしやすくなります。そのため、僕がこの技術を行うときは、常に相手コートの中央あたりを狙います。そうすると、オーバーミスする可能性が低くなるので、打球の安定性が高まります。
また、相手コートの中央を狙うと必然とバウンドが浅くなるので、打球の安定性が増すだけでなく、相手が距離感やタイミングを計りにくくなるというメリットもあります。
ツッツキに対するバックハンドドライブが安定しないという選手は、相手コートの深いところではなく、中央あたりを狙うことを意識してみてください。
(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)