1. 卓球レポート Top
  2. 技術・戦術
  3. 特集
  4. 黄鎮廷の裏面ドライブ
  5. 基礎からよく分かる! 黄鎮廷の裏面ドライブ ①基本の裏面ドライブ

基礎からよく分かる! 黄鎮廷の裏面ドライブ ①基本の裏面ドライブ

 世界で活躍するペンホルダー、黄鎮廷(ウォン チュンティン/香港)。この特別企画では、黄鎮廷の最大の武器である「裏面ドライブ」を、本人のコメントを交えながら分かりやすく解説していく。
 裏面ドライブとは、ペンホルダーの裏面に裏ソフトラバーを貼り、シェークハンドのバックハンドドライブのようにスイングする技術で、「バックの攻撃力が弱い」というペンホルダーの弱点を補うために生まれた技術だ。
 シェークハンドが大勢を占める中、ペンホルダーが勝ち残るためには、「裏面ドライブ」の習得が必須になってきている。黄鎮廷の確かなテクニックを参考にして、シェークハンドに負けない裏面ドライブを身に付けよう。
 第1回は、基本の裏面ドライブを紹介する。

【グリップのポイント】
手首を利かせやすいよう中指・薬指・小指を曲げる

wct01-01


 裏面ドライブを身に付けるために、まず注目してほしいのが、グリップ(ラケットの握り)だ。ラケットの引き方やスイングにいくら気を配っても、グリップに問題があると打球を安定させることが難しくなる。
 黄鎮廷のグリップを見てみると、裏面の指を丸めるように曲げているのが特徴的だ。
「裏面の中指・薬指・小指は伸ばしすぎないように意識しています。この3本の指が伸びてしまうと、手首をうまく動かせないからです。
 表面の親指と人さし指についてはあまり気にせず、自分が握りやすいように握っています」と黄鎮廷。
 安定した裏面ドライブをマスターするためには"手首をスムーズに使えるかどうか"が大きなポイントであり、それにはグリップが重要な鍵を握る。指の長さや太さは人それぞれなのでひとくくりにはできないが、裏面ドライブで手首をスムーズに動かせない選手は、黄鎮廷のグリップを参考にしてみよう。

【構えのポイント】
上体を前傾させて、体のバランスを安定させる

wct01-02


 グリップに次いで注目してほしいのが、「打球前の構え」だ。
 黄鎮廷の構えを見ると、上体をしっかり前傾させて、左足前のスタンス(足の構え)をつくっている。このように構えると、体のバランスが安定し、スムーズにスイングしやすくなる。このときのスタンスの幅は、肩幅よりも広めにすることを意識しよう。
 また、わきを空けてひじを体から離しておくこともポイント。このような腕の形をつくることにより、ラケットをスムーズに引きやすくなる。

【バックスイングのポイント】
ボールをこすれるよう手首をひねって準備

wct01-03


 続いて、バックスイングを見ていこう。
 ひじを体から離して構えたら(写真C-1)、ひじを少し前に出しながら、「ラケットの先を自分の方へ向けるように手首をひねる」ことがバックスイングのポイントだ(写真C-2~3)。バックスイングでこのように手首をひねっておくと、ひねった手首を返しながらスイングできるので、ボールをこするように打ちやすくなる。
 ラケットを引くときは、姿勢をほんの少し低くすることも意識してほしいポイントだ(写真C-1~2)。このちょっとした動作によって、「体のバランスがより安定する」「スイングのパワーがたまる」「打球タイミングが計りやすくなる」などのメリットが生まれるので、必ず実践しよう。

【スイングのポイント】
手首に力を入れすぎず、前腕中心に斜め上にスイング


 手首をひねって準備したら、ひねった手首を軽く返しながらラケットを斜め上に振り上げて、ボールの正面より少し上をこするように打つことがスイングの要領だ。黄鎮廷は次のように述べているので、参考にしてほしい。
「手首に余計な力を入れすぎないようにし、前腕(ひじから先)の力を使ってラケットを振り出すことがスイングのポイントです。飛んできたボールのリズムに合わせ、バウンドの頂点よりも前の早い打球点を捉えてください。
 裏面ドライブを安定させるためには、『体に対してどこでボールを捉えるか』も重要です。私は、体の正面または少しバック側寄りでボールを捉えるように心掛けています」
 このほか、スイングでは手首の使いすぎに注意が必要だ。裏面ドライブは手首がポイントになる技術だが、だからといって手首をこねくり回すように大きく使ってしまうと、打球が安定しない。準備でひねった手首を力まずに返すことを意識して、手首を意識的に使うのではなく、手首が「自然と使われる」スイングを目指そう。



(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)

『ディグニクス05』

黄鎮廷の裏面ドライブのような回転を重視した攻撃的なプレーをハイレベルで求める選手にお勧めのラバーです。
\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■技術・戦術の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■技術・戦術の新着記事