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第28回 フィッシュを究める!(水谷隼)

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今回の達人 水谷隼(木下グループ)
勝つためのテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。今回は、水谷隼がフィッシュを究めるためのポイントを伝授する。


 フィッシュとは、相手のドライブに対して台から離れた位置からバックハンドでしのぐ技術だ。同じようなしのぎの技術としてはロビングがあるが、ロビングは高い軌道のボールでしのぐのに対し、フィッシュは低い軌道のボールでしのぐ。そのため、劣勢の場面をなんとかしのぐというより、相手の打ちミスを誘ったり、攻勢に転じたりすることがフィッシュの目的だ。
 フィッシュを身に付ければ、相手に攻め込まれても余裕が生まれ、ワンランク上のプレーが可能になる。この技術の名手・水谷選手が明かしてくれるポイントを参考にして、フィッシュを自分の物にしよう。

※本文の技術解説は左利きプレーヤーを想定しています

達人からのアドバイス
 フィッシュで得点できると、相手に大きな心理的ダメージを与えることができます。
 加えて、前陣で対応が難しいような場面でも、フィッシュに自信があれば、台から離れて中後陣で勝負することができます。そのため、フィッシュをマスターすると、プレーの幅を広げることができると思います。
 フィッシュを成功させるためには、「体の正面でボールを捉えられる位置まで動く」ことが先決です。体の正面でボールを捉えることで、打球時の力加減やラケット面の微調整が利くので、フィッシュをコントロールしやすくなります。
 腕や足から余計な力を抜いてリラックスし、相手のドライブを体の正面で捉えられる位置まで足を素早く運びましょう。
 このときの上半身は、ひじを体から離し、ラケットを体の正面あたりに構えておきます。

達人からのアドバイス
 フィッシュを使う時は相手に攻め込まれている状況ですが、台から離れているので、その分、時間に余裕があります。そのため、「ボールを待つ」ことがフィッシュする時に僕が心掛けているポイントです。
 慌てずにボールをしっかり待ち、飛んできたドライブの軌道や相手の動きを見ることで、効果的なコースへ安定してフィッシュを送ることができます。

 体の正面で打球できる位置まで動き、ラケットを体の正面あたりに構えてボールをしっかり呼び込んだら、ラケットを斜め上に動かして打球します。
   打球する時は、ボールを強くはじくのではなく、ボールの正面よりほんの少し上を軽く押すように打つことがコツです。また、チャンスがあればボールをこするように打ってこちらから回転をかけて、相手にプレッシャーをかけます。


達人からのアドバイス
 相手のドライブに対して台から離れた位置から低い軌道のボールでしのぐフィッシュは、守り一辺倒ではなく、反撃につなげる技術です。
 したがって、フィッシュした後は、チャンスがあればいつでも攻め返すことができるよう準備しておくことが重要です。

 このことを踏まえ、フィッシュした後は、両足のひざを軽く曲げ、ラケットを高い位置に構えて準備してください。
 そうして相手の状況をよく観察し、攻め返せると判断したら、すかさずフォアハンドドライブで攻勢に転じましょう。


(取材/まとめ=卓球レポート)


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