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チャンピオンの練習メニュー 及川瑞基の練習法
①バックハンドカウンタードライブ

 並み居るライバルたちを押しのけ、2021年全日本卓球選手権大会男子シングルスで初優勝を果たした及川瑞基(木下グループ)。栄冠を勝ち取るまでの日常では、どのような練習が行われていたのか。
 この特別企画では、「全日本優勝の大きな支えになった」と及川が振り返る練習メニューを5つ紹介する。及川が明かしてくれる練習方法やその狙い、ポイントには、彼が優勝した理由はもちろんのこと、強くなるためのヒントが満載だ。
 1回目は、練習に臨む際の心構えと、バックハンドのカウンターを磨く練習方法を紹介しよう。
※本文の技術解説は右利きプレーヤー同士の練習を想定しています

集中力を高く保って練習にのめり込む毎日が、目標や夢につながる

 具体的な練習方法を紹介する前に、練習にあたっての僕の心構えについて簡単にお話ししたいと思います。
 練習する上では、基本に忠実に打球することはもちろん大切なのですが、僕は型にはまったプレーがあまり好きではありません。そのため、「自分の感覚で自分が思った通りに打つ」ことを普段から心掛けて練習しています。
 僕はボールを打っている時間が本当に楽しくて、練習を1分1秒たりとも無駄にしたくない。なので、集中して練習にのめり込んでいると自分では思っています。そうした、集中力を高く保った練習を毎日行うことの積み重ねが、自分の目標や夢につながっていくので、練習に集中し、それを継続していくことは大切なことなんだとあらためて実感しています。

バックハンドのカウンタードライブを磨く

ツッツキした後、ループドライブをバックハンドでカウンタードライブする練習


全日本で生きたバックハンドのカウンタードライブ

 それでは、僕が全日本前にやり込み、優勝の一因になったと実感している練習を具体的に紹介します。
 初めに紹介するのは、バックハンドのカウンタードライブを磨く練習です。
 試合では、こちらのバック側に来たつなぎのループドライブ(回転量の多いドライブ)に対しては、回り込んでフォアハンドでカウンターはできるものの、バックハンドで対応する場合はブロックになりがちです。しかし、ブロックでは相手に攻め込まれてしまい、得点につながりません。
 そこで、得点力を高めつつ、相手にプレッシャーを与えるために、つなぎのループドライブをバックハンドでカウンタードライブする練習は全日本前に多く取り入れました。
 今回の全日本では、僕の深いツッツキに対し、相手が驚いて持ち上げてきたループドライブをバックハンドでカウンタードライブするというプレーは多かったと思います。

ポイント① 深くて厳しいツッツキを送る

 この練習を行う際に心掛けているポイントは3つあります。
 1つ目のポイントは、フォア前に来た下回転サービスに対して、「深くて厳しいツッツキをストレート(右利きの相手のバック側)に送る」ことです。そうすると、相手が体勢を詰まらせてループドライブで持ち上げてくる可能性が高くなるので、バックハンドでのカウンタードライブの成功率が高まります。
 厳しいツッツキを送るためのポイントは、右足をフォア前に素早く運び、「体をボールにしっかり近づける」ことです。そうすると、打球のコントロールがよくなります。
 ボールに近づくときは、「バックスイングを取りすぎない」ことを意識しています。バックスイングを大きく取ってしまうと、相手に「ツッツキが来る」と読まれてしまうので、ストップするときと同じようにあまりバックスイングを取らずにボールに近づくようにしています。
 そうして準備したら、ラケットの真ん中あたりでボールを捉えることを意識して、押すように打球してツッツキします。

フォア前に来た下回転サービスに対するフォアハンドのツッツキレシーブ



ポイント②「ボールを薄く捉える」イメージでカウンターする

 ツッツキした後、バックハンドでカウンタードライブするときは、ループドライブの回転量を抑えられずにオーバーミスが多くなりがちです。オーバーミスを防ぐために、「ボールを薄く捉えるイメージで打つ」ことが、僕がこの練習を行うときに心掛けている2つ目のポイントです。
 ボールを薄く捉えるとは抽象的ですが、具体的には「(ラケットの)打球面を少しかぶせる」ことです。打球面をかぶせると、ボールの上の方を薄く捉えることができるので、オーバーミスを防ぎつつ、打球をコントロールしやすくなります。
 スイングは、手首を使ってラケットを横方向へ振ってしまうと打球が不安定になってしまいます。そのため、前腕(ひじから先)を固定するイメージで手首をあまり使わないよう意識し、ラケットを前方向へ振るイメージでスイングしています。

ループドライブに対するバックハンドのカウンタードライブ



ポイント③ ループドライブが浅く来たときは、右足を前に出す

 3つ目に心掛けているポイントは、「ループドライブが浅く来たときは、右足を前に出す」ことです。
 この練習では、ツッツキを深く厳しく送っているので、相手のループドライブが浅く来るケースが多々あります。このことは、試合でも同様です。浅いループドライブに対して、腕だけを伸ばしてカウンターしようとすると打球が安定しません。
 そのため、相手のループドライブが浅いときは、右足を前に出しながらスイングすることを心掛けています。右足を前に出して位置を調整すると安定してスイングできるので、それに伴って打球も安定します。

↓動画はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート編集部)

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