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【特別企画】 張本きょうだいのバックハンド④(最終回) 
ドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブ

 張本智和(智和企画)と張本美和(木下アカデミー)のきょうだい共演がついに実現!二人の最大の武器であるバックハンドにフォーカスした特別企画をお届けしよう。
 最終回は、相手のドライブをバックハンドでカウンタードライブするときに二人が心掛けているポイントを紹介してくれる。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーをモデルにしています

張本智和のドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブ

tomokazu_racket.pngドライブの威力を利用できるので、少し抑えた振りで安定性を重視します(張本智和)

--男子の試合では、バックハンドでカウンタードライブする機会は多いと思います。

張本智和(以下、智和) はい。今は、ループドライブ(回転量の多いドライブ)は狙われる時代です。
 この技術を使うときの自分の意識としては、普通のバックハンド(ロングボールに対するバックハンドドライブ)よりは威力を抑えて振ります。相手のドライブに威力があるので、自分が半分くらいの力で打っても十分に威力のあるボールを返すことができます。だから、まずは台に入れることを第一に考えています。その上で、余裕があれば強く、というイメージで振っています。

--打球するイメージは、ロングボールに対するときと変わりますか?

智和 回転がかかっているので、いつも通りのイメージで振るとオーバーミスしてしまいます。(ボールをラケットに)少し長く当てて、入れにいくイメージです。

--長く当てて入れにいくイメージなのに、どうしてそんなに打球が速いんですか?

智和 そこまで長く当てているイメージではないのですが、入れにいくと結果的に長く持っている気がします。振りを抑えてはいますが、相手のドライブの力を利用しているので、それでスピードが出るのかなと思います。

--ロングボールに対するときと比べて、ボールをこする力は弱くなりますか?

智和 そうですね。仮にボールをこする力が100パーセント必要だとしたら、50パーセントはすでに回転がかかってきているので、自分はそれにプラスして50パーセントこすればいいので、そんなに強くこすろうとして振っているわけでありません。

--ということは、スイングのスピードも対ロングボールに比べると遅いですか?

智和 振るスピードは少し遅くなっていると思います。速く強くバーンと振ってしまうとミスしやすいので。ただし、ある程度力を入れないとドライブの威力を抑えられないので、「力は入れるけど強くは振らない」という感じでしょうか。飛ばすのに力を入れるのではなく、ボールを抑える、または止めるために力を入れるイメージです。

--打球点はどのあたりを捉えますか?

智和 打球点は早いです。上がってくると(ボールがバウンドしてから時間がたつと)もっと回転がかかってくるので、回転がかかっていないうちにパパンと打球した方が抑えやすいと思います。

--この技術は、主に台上のボールをツッツキした後に使うと思いますが、そのときの前後の動きで注意しているポイントはありますか?

智和 1番大切なのは台から下がりすぎないことです。カウンターするにしてもブロックするにしても、下がってしまうとロビングになってしまうので、まずは台から下がらない。その上で、相手のドライブがゆっくりでいけそうだったらカウンター、難しかったらブロックに切り替えることが大切だと思います。

張本智和のドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブ

「半分くらいの力で打つ」「少し長く当てて入れにいく」など、智和は主に打球時のイメージについて話してくれたが、要は「いかに相手のドライブの球威を抑え、なおかつ利用するか」が精度を高めるポイントだ。この技術のミスが多い選手は、相手のドライブに関係なく、自分からドライブをかけ返そうとしすぎていないだろうか。
 智和のコメントを踏まえながら、ボールの正面より上の方を抑えるように捉えているところや、コンパクトなフォロースルー(打球後のラケットの動き)を参考にして、相手のドライブのスピードや回転量に応じたバックハンドでのカウンタードライブを身に付けよう。

張本美和のドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブ

tomokazu_racket.png無理に強く打たずに、少し回転をかけるイメージで打ちます(張本美和)

--ドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブは、女子でも多く使うようになってきていると思いますが、いかがですか?

張本美和(以下、美和) そうですね。相手のドライブに対して、準備ができたときやチャンスがあるときはカウンターをします。準備が間に合わなかったときはブロックで対処するようにしています。

--技術的に注意しているポイントを教えてください。

美和 相手がドライブで攻めてきているので、(ドライブの威力や回転量を)抑えることを1番に考えています。こちらから無理に強く打たなくても、少し回転をかけるだけで回転のあるボールで返せるので、まずは入れることです。安定性を重視して、その上でちょっと回転をかけて返すことを意識してバックハンドでカウンタードライブしています。

--ロングボールに対するときと比べて違うところはありますか?

美和 相手はこちらの下回転(ツッツキ)を上に持ち上げるようにドライブしてきているので、より回転がかかっています。その回転に合わせて下に抑える意識を持ちながら、振り幅の大きさやこする力をコントロールして打球しています。

張本美和のドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブ

 智和同様、バックハンドでカウンタードライブするときは、威力よりも安定性を重視するという美和。ドライブの球威に負けないよう上体の前傾を保ったスイングや、智和よりもさらにコンパクトに抑えたフォロースルーなどは、この技術の安定性を高める上で大きなヒントになる。
 バックハンドでのカウンタードライブは、男女を問わず、より上を目指すために必須の技術になってきている。二人が話してくれたポイントや連続写真を参考にして、安定性の高いバックハンドでのカウンタードライブの習得を目指してほしい。

↓動画はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート)

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