今回の達人 笠原弘光(協和発酵キリン)
勝つために欠かせないテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。第4回は、フォアハンドドライブを究めるポイントを、笠原弘光選手(協和発酵キリン)が伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています
ドライブ全盛の現代卓球では、フォアハンドドライブの精度が勝敗に大きく関わってくる。今回は、ミスの少ないプレーで定評のある笠原選手が、フォアハンドドライブを安定させるための秘訣を教えてくれた。
【究めるポイント①】
右足に重心をかけてボールを呼び込む
達人からのアドバイス
フォアハンドドライブを安定させるために注目すべきポイントはいくつかありますが、まず重要なのが「ボールをしっかり呼び込む」ことです。フォアハンドドライブが安定しない選手のスイングを見ると、早く打ちたいあまり、ボールを呼び込まずに打とうとする傾向がありますが、それでは腕だけを使ったスイングになって、いいボールが打てません。ボールをしっかり呼び込むことによって、体の力を使ってスムーズにスイングできる上に、打球するタイミングもより正確になります。
このポイントを踏まえ、腰を右にひねりながら右足に重心をかけ、ボールを呼び込むイメージでバックスイングを取ることを意識してください。
【究めるポイント②】
前腕を使って回転をしっかりかける
達人からのアドバイス
右足に重心をかけ、ボールを呼び込むイメージでバックスイングしたら、右足から左足へ重心を移す勢いを使って斜め上にスイングし、ボールの正面より少し上をこするように打ちます。
フォアハンドドライブを安定させるためには、「ボールをこするように打って回転をしっかりかける」ことが重要なポイントになります。回転をかけるとボールの軌道が山なりになるので、低いボールでもネットを越えて相手コートへ入る確率が高くなります。
回転をかけるためには、前腕(ひじから先)を斜め上にたたみながら、打球の瞬間にラケットを強く握るように打球してみましょう。そうすると手首が自然と動き、ボールをしっかりこすることができると思います。
【究めるポイント③】
フォロースルーは顔の前
達人からのアドバイス
フォロースルー(打ち終わりのラケットの動き)は、顔の前あたりにラケットを持ってくるようにしましょう。このことを意識すると、ラケットを斜め上にスムーズに振り上げられる上に、次への戻りもスムーズに行うことができます。
フォロースルーのとき、重心は、左右の足にほぼ均等にかけておきましょう。そうすることで、連続でフォアハンドドライブを打つときに、スムーズに右足に重心をかけてバックスイングを取ることができます。
【究めるポイント④】
どんなボールに対しても同じフォームを意識する
達人からのアドバイス
試合でフォアハンドドライブをミスするときの主な原因は、体勢が崩れたり、打球ポイントがずれたりしてスイングのフォームが狂ってしまうことです。そして、相手はこちらのフォームを崩そうとプレーしてきます。
ですから、普段の練習では「どこにどんなボールが来ても常に同じフォームでフォアハンドドライブする」ことを強く心掛けてください。これまで述べたポイントに加え、この意識を持って練習に取り組めば、必ずフォアハンドドライブの安定性が向上するはずです。
(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)