今回の達人 上田仁(岡山リベッツ)
勝つために欠かせないテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。第6回は、上田仁選手(岡山リベッツ)がスピードチキータを究めるポイントを伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています
台上のボールをバックハンドドライブするチキータは、コツを覚えるのが少し難しい技術だが、これからの卓球で勝とうとするならば避けて通れない技術だ。今回はチキータの達人・上田選手が、スピードが速いチキータを究めるためのポイントを教えてくれた。
【究めるポイント①】
前傾姿勢でボールの高さをよく見る
達人からのアドバイス
スピードチキータを成功させる上でまず重要なのは「ボールを選ぶ」ことです。ボールを選ぶ際のポイントは、回転の量や方向ではなく、「バウンドの高さ」です。バウンドの高さに注目し、バウンドがネットより少し高くなったボールが来たらスピードチキータしましょう。この選球眼が、スピードチキータを成功させるための大きな鍵です。一方、ネットすれすれに来た低いボールに対しては、たとえボールの回転が弱くてもネットミスしやすいので、スピードチキータは使わないようにしましょう。
このことを踏まえ、スピードチキータするときは、バウンドの高さが見極められるよう、低い姿勢でボールに近づいてください。
【究めるポイント②】
ラケットを思い切り振り抜く
達人からのアドバイス
フォア前に来た下回転のボールをスピードチキータするケースを例に挙げて、スイングのポイントを解説します。
このケースでは、右足をフォア前(右斜め前)に運び、上体を前傾させてボールに近づきます。そうして、ひじを高く上げ、ラケットの先を自分の方へ向けるように手首を大きくひねってバックスイングしましょう。
このように準備したら、ひねった手首を鋭く大きく前方向へ返しながら、ボールの正面より少し上を強くこするように打ちます。ひじの位置を動かしすぎないよう注意して、ラケットを鋭く大きく動かしてください。打球点はバウンドの頂点を狙いましょう。
スピードチキータを決めるために重要なのは、「ラケットを思い切り振り抜く」ことです。スイングが中途半端だと、相手のボールの回転の影響を受けてミスが出やすくなる上に、打球に威力が出ません。ボールのバウンドの高さをよく見て「スピードチキータできる」と判断したら、迷わずラケットを振り抜きましょう。
【究めるポイント③】
マスターする鍵は「フォア前」
達人からのアドバイス
スピードチキータを身に付けるためには、「フォア前に来たボールに対して練習する」ことをお勧めします。フォア前に来たボールをチキータするときは、右足をエンドラインよりも前(写真1)、そしてサイドラインよりも右(写真2)に運びます。このように、右足をフォア側に大きく動かすと、体をボールにしっかり近づけてスイングできるので、チキータに必要なラケットの動かし方や感覚を身に付けやすいでしょう。
これからスピードチキータを覚えようという選手は、レシーブを構えた位置から動くのではなく、あらかじめフォア前のボールをチキータしやすい位置で待ち構えて練習することから始めてください。そうして、スイングの要領や打球する感覚をつかんだら、レシーブを構えた位置から動いてチキータする練習にステップアップしましょう。このように、徐々に難度を上げながらフォア前に来たボールに対して練習すると、スピードチキータをスムーズにマスターできると思います。
(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)