今回の達人 大矢英俊(東京アート)
勝つためのテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。第12回は大矢英俊選手(東京アート)が、前陣バックハンドドライブを究めるポイントを伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています
鮮やかな前陣カウンタープレーで活躍する大矢英俊選手。今回は、その大矢選手が、前陣でのバックハンドドライブを究めるポイントを教えてくれる。大矢選手の振りは一般の男子選手に比べるとかなり小さいが、そこから放たれる打球点の早いバックハンドドライブは、彼の大きな得点源になっている。
打球点の早さにこだわるバックハンドドライブは、男子選手のみならず、女子選手やパワーに自信がない選手にとっても大いに参考にしてほしい技術だ。
【究めるポイント①】
手首中心の小さいスイングで早い打球点を狙う
達人からのアドバイス
僕は、小さい頃から「バックハンドドライブは早いところを捉えなさい」と指導者からアドバイスされてきましたし、自分でも打球点の早さにこだわってきました。そうしてたどり着いたのが、今のコンパクトなスイングです。
僕のバックハンドドライブは、ほかの選手に比べると振りがかなり小さいですが、その分、早い打球点を捉えられることが大きなメリットです。早い打球点を捉えると、相手の時間の余裕を奪えることに加え、コースを変えたときにノータッチエースを奪う確率が高くなるので得点率が高まります。
コンパクトにバックハンドドライブするためには、「手首を中心にスイングする」ことが肝心です。
バックスイングでラケットの先をバック側に向けるように手首を小さくひねったら、ひねった手首を小さく鋭く返し、バウンド直後から頂点前までの早い打球点を狙ってバックハンドドライブします。
【究めるポイント②】
フリーハンドで体のバランスを保つ
達人からのアドバイス
スイングのポイントをもう少し詳しく説明します。
上体の前傾を保ち、わきを空けてひじを体から適度に離して構えたら、手首を小さくひねってバックスイングします。そうして準備したら、おへその前からラケットを振り出すイメージでスイングを開始し、準備でひねった手首を返す勢いで斜め上にスイングします。ひじを動かしすぎないよう注意し、コンパクトなスイングで早い打球点を捉えましょう。
この技術のスイングを安定させるためには、フリーハンド(左腕)が見逃せないポイントです。具体的には、フリーハンドのひじを軽く曲げ、胸の高さあたりに保ってスイングしましょう。
このようにフリーハンドを意識すると、体のバランスを保つことができるので、スイングが安定する上に、戻りもスムーズに行うことができます。
【究めるポイント③】
中指・薬指・小指に力を入れて打球に威力を出す
達人からのアドバイス
グリップ(ラケットの握り)の力加減も、前陣でコンパクトにバックハンドドライブするときの重要なポイントです。
このときのグリップは、打球の瞬間に中指・薬指・小指の3本に力を入れ、親指と人さし指からは力を抜くことを意識してください。グリップの親指と人さし指の力を抜くと手首の動く範囲が広がり、手首をしならせるように動かすことができます。それによって、小さいスイングでもボールにスピードと回転を加えることができるので、打球に威力が出ます。
(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)