今回の達人 松平健太(木下グループ)
勝つためのテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。第14回は松平健太(木下グループ)が、伸ばすブロックを究めるポイントを伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています
「伸ばすブロック」とは、相手のドライブに対して、バックハンドでほんの少し前進回転をかけるようにブロックする技術だ。普通のブロックに比べると、打球が相手コートにバウンドしてから伸びるため、相手の連続攻撃を防ぎやすい。
今回は、世界でもトップレベルのブロック力を誇る松平選手が、伸ばすブロックを究めるためのポイントを教えてくれた。
【究めるポイント①】
上体を前傾させ、腕をリラックスさせてドライブを待ち構える
達人からのアドバイス
わきを空けてひじを体から離し、ラケットを体の正面あたりに構えて準備します。このときの打球面はかぶせておきましょう。
準備するときのポイントは、「腕をリラックスさせる」ことです。
相手のドライブをブロックするときに、腕に余計な力が入っていると打球面や力加減の微調整が利きにくくなり、打球が安定しません。手首やひじ、肩から余計な力を抜き、腕全体をリラックスさせてドライブを待ち構えてください。
また、前傾姿勢をキープすることも必ず意識しましょう。上体が起きていると相手のドライブに押されやすくなるので注意してください。
【究めるポイント②】
ひじを斜め上に動かすイメージでスイング
達人からのアドバイス
伸ばすブロックをするときの、スイングのポイントを解説しましょう。
伸ばすブロックをするときは、ラケットを斜め上に小さく動かしてスイングします。手首は動かさないよう注意し、ひじを斜め上に動かすイメージでスイングしましょう。このようなスイングでボールの正面より少し上を捉えると、相手のドライブの回転を自然と利用できるので、相手コートにバウンドしてから伸びるような軌道のブロックを送ることができます。
伸ばすブロックでは、手首を使う必要はありません。手首を使って自分から回転をかけようとすると、相手のドライブの回転が利用できず、打球が思うように伸びないので注意しましょう。
打球点は、ボールのバウンドの頂点あたりを狙います。バウンド直後の早い打球点を狙おうとすると、腕が伸びやすくなって思うようにスイングできないので注意しましょう。打球するときは、相手のドライブに押されないよう、ラケットをしっかり握ることも意識してください。
【究めるポイント③】
腕だけでなく、体全体を使ってスイングする
達人からのアドバイス
スイングのポイントをもう一つ紹介します。
伸ばすブロックは斜め上に小さくスイングしますが、このとき、腕だけでなく、体全体でスイングすることを心掛けましょう。
具体的には、「両足のつま先の方で床を押す力」と「上体を軽く起こす力」の2つを意識してください。そうして、腕だけでなく体全体を使うと、スイングの安定性が高まって相手のドライブの威力に押されにくくなるので、伸ばすブロックが安定します。
一方、腕だけを動かして伸ばすブロックをしようとすると、打球を安定させることが難しくなるので注意しましょう。
(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)