東京オリンピック男子シングルス銅メダルを筆頭に輝かしい成績を収め、今なお世界のトップで活躍するオフチャロフ(ドイツ)。オフチャロフといえば個性的なサービスの数々が印象的だが、中でも低すぎる構えから繰り出すバックハンドサービスは彼の代名詞だ。
この特別企画では、オフチャロフが自身のバックハンドサービスについて詳しく説明してくれる。
第3回は、バック側へのロングサービスにスポットを当てる。横回転と横下回転の2種類のロングサービスについて、オフチャロフがポイントを解説してくれた。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーをモデルにしています
ロングサービスは、台の高さに近いところでインパクトする
相手の意表を突いたり、レシーブの位置やタイミングを狂わせたりする効果が期待できるロングサービスは、サービスのバリエーションとして必須です。また、私にとってバック側へのロングサービスは、第1回と第2回で紹介したフォア前へのショートサービスを生かすためにも欠かせません。
ロングサービスを出す上で、とても重要なことは「どこでボールを打つか」です。このとき、台よりもかなり高いところでボールを打ってしまうと、バウンドが高くなってしまうのでいけません。ロングサービスを出すときは、台の高さに近いところでインパクトするようにしましょう。そうすると、バウンドを低く抑えることができます。
そして、第1バウンドはエンドラインぎりぎりにバウンドさせることが原則です。第1バウンドをエンドライン際にうまくコントロールできない場合は、チョークなどで台に目印をつけ、そこを狙うのも1つのアイデアですね。
私のバックハンドでのロングサービスのバリエーションは横回転と横下回転の2つです。
横回転ロングサービスを出すときは、ラケットの打球面を立ててボールの正面あたりをこするように打ちます。横下回転ロングサービスは、ラケットの打球面を少しだけ上向きにして、ボールの横下をこするように打ちます。
毎日30分のサービス練習を欠かさず行って質を磨いてきた
今回紹介したロングサービスに限らず、どのようなサービスでも、1つのアドバイスによってできるという単純なものではありません。私は、サービスの練習を毎日欠かさず30分は行ってきました。これまでの長い競技生活の間、毎日ずっとです。
良いサービスを身に付けるためには、多くの練習が必要です。初めは思うように回転をかけられなかったり、思うようなコースへコントロールできなかったりすると思いますが、あきらめずに練習をたくさん繰り返してください。そうすれば、きっとサービスの質は磨かれていくと思います。
バック側への横回転ロングサービス(横から)
バック側への横回転ロングサービス(前から)
バック側への横下回転ロングサービス(横から)
バック側への横下回転ロングサービス(前から)
オフチャロフのバックハンドサービスは、そもそもの構えが台に対して半身なので、「腕を思い切り振ってロングサービスが来そうだ」という印象をレシーバーに与えやすい。この個性的な構えから、スピードが速いロングサービスと、第1回と第2回で紹介したショートサービスを自在に出し分けるテクニックが、オフチャロフの得点源の1つだ。
ロングサービスにスピードを出すためには、連続写真の上体の動きとひじを引き上げるようなスイングを参考にしてほしい。このように、手首だけでなく、体全体を使ってインパクト(打球の瞬間)を強くすることが、ロングサービスにスピードを出すポイントだ。
打球の瞬間以外は腕から余計な力を抜くことも意識して、オフチャロフのような鋭いロングサービスを身に付けよう。
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(取材/まとめ=卓球レポート)