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練習、お邪魔します!
日本リーグ連覇!日鉄物流ブレイザーズ【土曜日編】


 今、勝っているチーム、勢いのあるチームを訪問し、その練習風景を伝える新企画。結果を出すチームの日常からは、強くなるためのヒントや刺激がたくさん得られるはずだ。
 第1回は、2023年後期日本リーグ2024年前期日本リーグと連覇を果たした日鉄物流ブレイザーズの練習場にお邪魔した。
 平日編に続き、ここでは土曜日の日鉄物流ブレイザーズの様子と選手たちの声を紹介する。

昼休憩を利用して卓球教室を開催
 日鉄物流ブレイザーズの土曜日は、930分から練習がスタートする。
 ウオーミングアップした後、10時から12時まで打球練習を行い、2時間の昼休憩を挟んで14時から17時まで打球練習が行われる。練習内容は基本的に平日と同じで、全員が同じ練習に取り組むのではなく、各自が課題や特徴に応じて実戦を強く意識した練習に取り組む。
 平日と大きく異なったのは、12時から14時の昼休みを利用して卓球教室が開かれていたことだ。この卓球教室は和歌山県卓球協会が主催し、日鉄物流ブレイザーズが協力する形で、近隣の卓球愛好家を対象に定期的に行っているという。日鉄物流ブレイザーズの選手たちも毎回1人は必ずコーチとして加わる。取材時は10人ほどの卓球愛好家が参加し、髙見真己がコーチを担当。参加者のリクエストや悩みに応じる形で、得意のチキータのコツなどを丁寧に指導していた。
 企業スポーツにとって、こうした地域や社会への貢献は、ファンを創出したりチーム内の結束や士気高揚を図ったりする上で大切な活動の1つだ。髙見のアドバイスを受けた参加者たちが生き生きとボールを打ち合う姿に、日鉄物流ブレイザーズの強さの一端を見た気がした。

昼休みを利用して卓球教室が行われた

この日のコーチに抜てきされた髙見はチキータのコツをレッスン

■日鉄物流ブレイザーズの選手たちの土曜日のスケジュール



 最後に選手たちのコメントを紹介する。企業人と卓球人、両方の顔がのぞく選手たちの声から、日鉄物流ブレイザーズのチームカラーや強さの要因を感じ取ってほしい。

■背中で語る愛されキャプテン 藤村友也
ふじむらともや。1994814日生まれ。愛知工業大学出身。2022年全日本卓球選手権大会男子ダブルス3位

 入社して8年目になります。業務部の営業課に所属していて、和歌山に入港する内航船舶の代理店業務を担当しています。顧客である船会社より依頼を受け、代理店係として入港船舶に対して荷役予定時間や製鉄所構内の安全ルールを伝えたり、海上保安庁への船舶入出港関係の申請手続きなどを代行しています。現場寄りの職場で自分のペースでできないところは大変ですが、ほかの船とぶつかったりしないよう安全第一を心掛けて業務に当たっています。
 今年の4月からキャプテンを任されました。これまで周囲のことはあまり気にしなかったのですが、自分がキャプテンの時に悪い結果は出したくないという思いからか、責任感はちょっと芽生えてきました(笑)。自分は周りにああしろこうしろというタイプではないので、集中力や練習量で引っ張る感じです。
 杉井監督は本当に熱い方で、勝ちたい気持ちが伝わってきます。「結果はどうでもいい」という監督だったら、僕らは優勝できていない。監督の「絶対勝つぞ!」という姿勢に引っ張られています。
 日鉄物流ブレイザーズは普段は和気あいあいで仲が良いですが、試合の時の団結力はどのチームにも負けていないと思います。

主将の藤村は、貨物輸送船の入出港のコントロールに従事

卓球部ではみんなにイジられ、愛されているキャプテンだ



■業武両道の一児のパパ 定松祐輔
さだまつゆうすけ。1995119日生まれ。中央大学出身。2023年ビッグトーナメント茨城大会男子ダブルス優勝

 今年で入社7年目です。管理部営業管理課に所属しています。業務内容は、荷主さんとの料金交渉や、作業するにあたっては毎月の取り扱い量などを定めた法令があるので、その法令対応などを行っています。荷主さんとの料金折衝はなかなか大変ですが、うまくいったときは数字に表れるのでやりがいを感じますね。
 僕の卓球は一撃で決めるのではなく、粘り強くプレーするスタイルですが、仕事も粘り強いタイプかなと自分では思います。分からないことは根気よく人に聞いたりして、自分が納得したことを荷主さんや上司に説明するよう心掛けています。あまり派手ではなく、地味な仕事スタイルですね(笑)
 こうして自分が卓球できているのも部内の方のサポートがあってこそなので、感謝の気持ちを持つことはもちろん、僕らは結果でしか恩返しできないので、出る試合はできる限り勝って、皆さんに良い報告ができるよう心掛けています。
 大学までひたすら卓球しかしてこなかったので、入社したら完全に逆転して、「もっと練習しないとダメだ」とすごく焦っていましたが、今は年齢的にしんどくなってきているので(笑)、短時間の練習の方が自分には合っているのかなと思います。
 うちはみんな仲が良くてフレンドリーですが、監督をはじめ熱い人間がそろっています。出る大会は今までの成績を超える結果を出していきたいですし、今後については卓球もそうですが、仕事にもよりいっそう全力で取り組んでいきたい。家族が応援してくれるので、家族のためにも頑張っていきたいと思っています。

管理部営業管理課に所属する定松。仕事も卓球も粘りが身上

練習では積極的に声を出し、盛り上げ役の一面も


■最後の青森山田 一ノ瀬拓巳
いちのせたくみ。1998213日生まれ。中央大学出身。2021年全日本社会人卓球選手権大会男子ダブルスベスト8

 中学・高校と青森山田、大学は中央大学を卒業して、今年で入社5年目になります。
 仕事は営業です。一口に営業といっても、皆さんが思うように物を売る営業ではなく、日本国内の港から港へ船で物品を輸送する営業です。お客様からの要望と現場のできる範囲をすり合わせながら、どうやったらうまくさばけるかを日々考えています。目に見えて月の成績が出るのは営業ならではで、売り上げが伸びればモチベーションになります。
 大きな試合の前は10日前から15時で上がらせてもらい、大会期間中は不在にするので、その間、自分の業務をほかの方にやっていただく形になります。そのため、試合が終わったら早めに出社して、やっていただいた分や遅れた分をカバーするようにしています。
 うちのチームカラーは、やるときとやらないときのメリハリが利いているところ。普段はふわっとしていても試合になったらグッと入り、普段と全然違う感じになるので、その様子をはたから見るのは面白いです(笑)
 近い目標で言えば、9月の中旬に全日本実業団があります。前回優勝しているので連覇を目指して頑張っていきたいです。将来的には、年相応の社会人になれたらいいなと思っています。

営業の一ノ瀬。顧客と現場を取り持つ日々を送る

伝説の名門・青森山田の最後のOB。基本技術の確かさはさすが


■最年少のマスコット的エース 髙見真己

たかみまさき。1999630日生まれ。愛知工業大学出身。2019年全日本卓球選手権大会男子ダブルス2

 小学生の時に愛知県の美崎クラブで卓球を始め、愛工大名電中学、高校を経て、愛知工業大学を卒業し、今年で入社3年目です。
 物流企画課に所属しています。簡単に言うと、製鉄所における物流効率化を検討し、実行できるよう取り組む部署です。まだ入社3年目で分からないことや新鮮なことが多いのですが、そうしたことが分かるようになるのが面白いですね。
 学生時代から環境がガラッと変わって、入社して3カ月の研修の時は練習があまりできないストレスも重なり、少し体調を崩した時期もありました。よく先輩たちは仕事しながら卓球できるなと(笑)。でも、おかげさまで今はだいぶ慣れましたね。
 杉井監督は一言で、熱いです。入社前から熱血指導とは聞いていたので、最初は若干面食らいましたが想定内(笑)。なかなか実業団チームの監督で、ここまで熱い感じの人はいないんじゃないでしょうか。杉井監督には社会人として教わる部分が多く、人間的にすごく成長させてもらっています。
 僕は1番年下で気を使わないといけない立場なんですけど、先輩の方が気を使ってくれて自由にやらせていただいているのですごくありがたいです。皆さん優しいし、頼りになる先輩たちだなとすごく思います。試合も藤村さんが勝ってほしいときに勝って、定松さんも勢いがすごくて、一ノ瀬さんも試合に出ないときはすごくサポートしてくれるので、チーム力は1番あると思います。

「社会人にだいぶ慣れた」という入社3年目の髙見。物流企画課に所属

みんなに可愛がられる最年少エースは、鋭い両ハンドが持ち味



■キャリア十分の兄貴的コーチ 松下海輝

まつしたかいき。1993108日生まれ。明治大学出身。2018年全日本社会人卓球選手権大会男子ダブルス優勝

 熊本県出身で両親の影響で卓球を始めました。福岡県の希望が丘高校、明治大学を卒業して日鉄物流に入社し、今年で9年目になります。チームの中ではまあまあ経験を積んでいますね(笑)
 所属は業務部物流企画課で、和歌山製鉄所の効率化の検討と物流の安全対策の導入などを主に担っています。髙見と同じ部署で、いつも目の前に座って仕事しています(笑)
 今年の1月に選手を引退して、コーチ兼選手という立場になりました。基本的に練習はしませんが、少数のチームなので誰かが故障して出られなくなったら緊急登板する形です。そうならないよう願っていますが(笑)
 仕事しながら卓球に打ち込む9年間は簡単ではありませんでしたが、終わってみたら仕事も卓球も両方頑張ってきて良かったなと思います。大学卒業と同時に卓球をやめていたら、この経験は得られませんでした。根本的に卓球が好きだったので、社会人になっても卓球をやらせていただいている楽しさや喜びが1番のモチベーションだったと思います。
 コーチとして心掛けていることは、試合期間中に選手たちと適度に距離を取ること。選手たちと仲が良いのでしゃべりたくなってしまうんですが、そうすると空気感が軽くなってしまう。それで負けたら「お前のせいや!」と言われるのも困るので(笑)、試合期間中はなるべく選手たちに寄らないようにして、緊張感を保つよう心掛けています。
 うちのチームは、会社でちゃんと仕事をして応援されるタイプの人間がそろっています。もちろん卓球も、決して多くない時間の中で結果にしっかりこだわって真面目に練習取り組み、試合に入り込める人間がそろっていると思います。 

入社9年目の松下は、髙見と同じ物流企画課に所属

今年の1月に引退し、コーチとして選手を支える


↓動画はこちら


日本リーグ連覇!日鉄物流ブレイザーズ【平日編】はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート編集部)

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