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教えて!上D <ドイツ編>
第14回「戸上選手との日本人対決はどうでしたか?」


「卓球界の賢人」こと上田仁が、その確かな実力と見識をもとに、さまざまな質問に答える人気企画「教えて!上D(ウエディー)」が復活!昨年の8月から日本を離れ、ドイツに拠点を移した上Dが、卓球についてはもちろんのこと、ドイツやヨーロッパ各地への転戦の日々についても伝えてくれます。
 今回は、ドイツ・ブンデスリーガ1部2024-2025シーズン第2戦のオクセンハオゼン戦について、戸上隼輔との対戦を中心に語っていただきました。

Q.オクセンハオゼンとの第2戦、戸上戦を中心に振り返っていただけますか?

ブンデスリーガ1部2024-2025シーズン第2戦で戸上隼輔選手が所属するオクセンハオゼンと対戦しました。戸上戦を中心に振り返っていただけますか。(能あるたかひろ:卓球レポートスタッフ)

A.軌道の低さ、速さに脱帽。一方で、若い戸上の頑張る姿が刺激に

 戸上、カルデラーノ、ゴズィーを擁するオクセンハオゼンは今シーズンの優勝候補の一角です。しかし、オクセンハオゼンは開幕戦からカルデラーノとゴズィーを欠き、3番手にチームのコーチであるプグナが出場するという苦しいチーム編成のため、仮に戸上に2点を取られたとしても負けないオーダーを考える必要がありました。
 そうした背景があったため、アビオドゥンとの第1マッチはチームの勝敗を大きく左右する試合だったので、とても緊張感がありました。第1マッチを僕が勝てば戸上に2点を取られたとしてもチームが勝利する可能性は大きく高まりますが、反対に負ければ戸上から1点を取らなければ苦しくなります。そうした緊張感のある中、ゲームオールで競り勝つことができました。

 第4マッチでは、戸上と約2年ぶりの対戦になりましたが、やはり強かったですね。ヨーロッパの選手は回転量を重視するためかドライブの軌道が高い選手が多いのですが、戸上のボールは軌道が低く、とにかく速い。それに加え、台上処理のタイミングもヨーロッパ選手にはない速さなので、こちらから崩そうと思っても全く崩れません。1ゲーム目、2ゲーム目は何本もノータッチで抜かれてしまいました。
 3ゲーム目は自分から仕掛けたことでジュースまで競り合いましたが、肝心なところで自分にミスが出てストレートで敗れました。3ゲーム目が取れていればもう少し面白い試合になったかもしれませんが、苦しい状況のチームのエースとして負けられない中、非常に安定した試合運びをした戸上の強さに感服しました。

 パリオリンピック直後から渡独し、より厳しい環境で過ごしている戸上に対しては、「まだ若いのに自ら厳しい選択ができてすごいな」と素直に思いますね。自分が今の戸上の年齢の時、その選択はできませんでした。戸上のより高みを目指そうとする姿勢や覚悟を踏まえると、倒すべき相手ではありますが、純粋に心から応援したくなります。
 ブンデスリーガには、日本ではとても考えられないような、決してきれいな卓球とはいえないくせ者たちがたくさんいます。そうした猛者たちとたくさん試合をして、経験を積んでいけば、戸上はきっと今よりさらに素晴らしい選手になることでしょう。ドイツに来てから年齢をあまり気にしないようになりましたが、戸上のように自分よりはるかに若い選手が頑張っている姿を見ると、とても良い刺激を受けます。
 とはいっても、戸上は違うチームの選手なので、次に対戦するときまでには自分もさらに力をつけてリベンジしたいと思います。

 今シーズンの自分のテーマは、世界ランキングの高い格上の選手に対して迫り、勝つことですが、それ以上に「力の拮抗(きっこう)する選手との試合で負けない」ことです。今回、戸上と対戦したことで、改めて日本人選手の基礎力、技術力の高さを痛感しました。
 ヨーロッパとアジアとで選手の特徴をひとくくりにすることはできませんが、どちらの選手と対戦するにしても戦い方が非常に重要になってくるので、そこを踏まえ、改善しながらこれからもしっかり戦っていきたいと思います。

▼第2節の試合結果
ケーニヒスフォーヘン 3-2 オクセンハオゼン
○上田 3-2 アビオドゥン
 ゼリコ 0-3 戸上○
○シュテーガー 3-0 プグナ
 上田 0-3 戸上○
○シュテーガー/アレグロ 3-0 アビオドゥン/プグナ

試合を終え、固く握手を交わす上田選手と戸上選手

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(文/写真=上田仁 まとめ=卓球レポート編集部)

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