17歳にして全日本卓球選手権大会男子シングルスの頂点に立った松島輝空(木下グループ)。その壮絶なまでの猛攻と堂々たる立ち居振る舞いに、次代のエースを見た卓球ファンは多いだろう。
この特別企画では、松島が、自身の得意技であり、全日本優勝を強力にアシストしたロングサービスのポイントを解説してくれる。ずば抜けた得点力を持つ松島の鋭いロングサービスの数々からは、強くなるための大きな刺激が得られるはずだ。
第1回は、松島がロングサービスを出す上で心掛けているポイントと、松島がよく使うという横回転ロングサービスを紹介しよう。
※本文の技術解説は左利きプレーヤーをモデルにしています

相手にサービスの長短を分からせない工夫と
相手の狙いを読むことがポイント
ロングサービスは、誰よりも出すといってもおかしくないくらい、僕にとって得意技術です。
メインで使うのは横回転系のロングサービスで、その種類もいくつかありますが、まずロングサービス全般に通じるポイントからお話ししたいと思います。
ポイントは大きく2つあって、1つ目は「ショートサービスと同じようなモーションでロングサービスを出す」ことです。サービスの長短を相手に分かりにくくすることによって、ロングサービスを出したときの効果が高まります。
2つ目のポイントは、「相手の狙いを読む」ことです。試合の展開や、それまでの自分のサービスの配球などを踏まえ、相手がどこを狙って来ると思っているのか、また、来ると思っていない場所はどこかを読んだ上でロングサービスを出すようにしています。そうして、相手の狙いを外してロングサービスを出すと得点率が高まります。

横回転ロングサービス(左)と横回転ショートサービス(右)

ロングサービスを出すコースは相手のバック側が基本
クロスへ出すときは、できるだけ深いところを狙う
ロングサービスに共通するポイントをもう一つ紹介します。
僕がロングサービスを出すときのコースは、「相手のバック側に出す」ことを基本にしています。このことを踏まえ、左利きの僕がバック側からロングサービスを出す場合、右利きの相手に対してはストレートにロングサービスを出します。
このとき僕が心掛けているポイントは、「体を(右肩を)開きすぎない」ことです。体を開いてしまうと、相手に「ストレートにロングサービスが来る」と見破られてしまうので、体の開きすぎに注意してロングサービスを出すようにしています。
もちろん、相手のフォア側にロングサービスを出すこともありますが、クロスへ出すときは、ストレートへ出すときと比べて少しプレッシャーがかかります。クロスはストレートに比べて距離が長いので、甘くなってしまうと相手に狙い打たれてしまうからです。そのため、ロングサービスをクロスへ出すときは、相手コートのできるだけ深いところを狙うよう心掛けています。

横回転ロングサービスのポイント
ラケットを体にぶつけるように動かし
速いスイングでボールに横回転をかける
それでは、具体的に僕が使うロングサービスを紹介します。今回は、右利きの相手に対してよく使う、ストレートへの横回転ロングサービスのポイントをお話しします。
横回転ロングサービスは、ラケットの先端を下げて後ろから前に動かし、ボールに横回転をかけます。僕は、ラケットを自分の体に(胸のあたりに)ぶつけるように動かして、このサービスを出しています。そのため、結構痛いんですけど、ラケットを体にぶつけまくりながら練習しています(笑)。説明した動作を、できるだけ速いスイングで行うことが、威力のある横回転ロングサービスを出すコツです。
このサービスを出すときは、「バック側のネットのサポートを迂回(うかい)させる」イメージで打球しています。このイメージを持つと、厳しいコースへコントロールしやすいと感じています。
また、横回転ロングサービスに限りませんが、ロングサービスを出すときの第1バウンドは、エンドライン付近です。思うようにロングサービスを出せない選手は、エンドライン付近で第1バウンドさせることを意識してください。

ストレートへロングサービスを出し、そこから両ハンドで畳み掛けるプレーは、松島の真骨頂だ。
松島が紹介してくれた横回転ロングサービスでは、台の高さに近いところで打球しているところも、ぜひ参考にしてほしい。打球位置が台に近いほど、ボールの軌道が低くなるので、ロングサービスの威力が高まりやすくなる。正確に打球できるよう、ボールが落下してくるところをしっかり注視しているところも見習いたいポイントだ。
次回は、松島が横回転ロングサービスのバリエーションを紹介してくれる。
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(取材協力=木下グループ 取材/まとめ=卓球レポート)