水谷隼選手というと、攻守そろったオールラウンドプレーと、フットワークを生かしたフォアハンドドライブをイメージする。水谷選手自身はフォアハンドドライブを打つときに「威力」を意識していると述べるが、とりわけ、バック側に回り込んでストレートに打ち込む威力あるフォアハンドドライブは、水谷選手の得点源のひとつと言えるだろう。
水谷選手は、月刊「卓球レポート」2009年3月号で、次のように述べていた。
「僕はチャンスがあればいつでも回り込んでフォアハンドで攻撃できるように待ち構えています」
この時、水谷選手は19歳、全日本卓球選手権大会の男子シングルスで3連覇を決めたところだった。そして、現在までに通算9度の全日本優勝を遂げている。
また、水谷選手は同じく月刊「卓球レポート」2009年3月号で、回り込みフォアハンドドライブに威力を出すためのポイントを、次のように語っていた。
「回り込んでフォアハンドドライブするときは、上体をしっかりひねってバックスイングします。このとき、軸足(左足。右利きの選手は右足)にしっかり重心を乗せます。こうすると、左足から右足への(右利きの選手は右足から左足への)重心移動を利用して力強くスイングするための準備ができます」
「回り込んだときは、しっかり踏み込んで打球するように意識しています。そうすると体全体で打球できるため、ボールに威力が出ます」
下の連続写真は平成29年度全日本卓球選手権大会(2018年)のプレーだが、水谷自身が述べたポイントがよく表れている。
取材=猪瀬健治 文=川合綾子