ここまでディグニクスの性能について触れてきたが、どうすればその性能を実感できるのか。それには、打ち方にポイントがある。株式会社タマス(バタフライ)研究開発チームの研究員であり、練習に試合に励む卓球愛好者でもある福田知由(ふくだ・ともよし)は次のように語る。ぜひ、みなさんのプレーに役立ててほしい。
「ポイントは、より『前へ振る』ということです。ボールを薄く捉えて(上へではなく)前へ振った時に、より回転がかかって、質の高いボールになります。前へ前へ、より攻撃的にプレーするイメージを持つといいと思います。相手のループドライブに対しては、前陣で積極的にカウンターを狙うといいでしょう。大げさに言うと、全部カウンター、全部前へ振っていく、くらいのイメージです。相手の球に合わせるんじゃなくて、自分から攻めるんです」
「ボールを薄く捉えた時に回転をかけやすいので、チキータをやりたい人にもディグニクスはいいと思います。水谷隼選手(木下グループ)は、両面にディグニクス80を使うようになってから、以前に比べてチキータを使うようになっていますし、カウンターを含めた前陣でのプレーに磨きがかかっていると感じます」
「回転をかけやすいので、カット打ちにも向いています。相手のカットを持ち上げられない人は、ディグニクスを使ってみると、カット打ちが今までより楽に感じられると思います」
「実は、サービスに回転をかけやすいのも特徴です。大きく振らなくても、すっと薄く当てれば回転がかかります。(スポンジを使わずに)シートだけでサービスを出すイメージですね」
「ディグニクスでストップする時は『切るストップ』を意識するといいと思います。ディグニクスの場合は、止めるだけのストップよりも、切るストップの方がやりやすいんです。止めるだけのストップだとバウンドが高くなりやすいのですが、切るストップをすると、ガツンと切れて、自分のボールにしてストップすることができます」
「レシーブに自信がない選手にも、ディグニクスはお勧めです。相手のサービスの回転が分からなくて、どうレシーブすればいいか迷うことがあると思いますが、ディグニクスはかなりいいツッツキが出るんです。だから、レシーブに迷ったらツッツキをする。そうすると、回転のかかった質の高いツッツキが出せるので、相手はループドライブでつないでくることが多くなります。そこをカウンターで狙う。
相手のサービスの回転が分からない時でも、『ツッツキ→相手がループドライブ→カウンター』という得点パターンに持ち込むことができるんです」
ディグニクスを初めて使うと、それまでのラバーとは異なる打球の飛び方に戸惑うことだろう。だが、福田のコメントを参考にスイングしてみてほしい。ディグニクスでしか得られない感覚を、プレーに生かすことができるのではないだろうか。
ちなみに、この話を聞いた2019年10月時点で、福田の使用用具はラケット「インナーフォース レイヤー ALC」にフォア面「ディグニクス05」、バック面「テナジー80」。福田はこう打ち明けた。
「私はカウンターが全然できなかったんです。でも、フォアをディグニクス05にして、カウンターができるようになりました。11月になったらバック面をディグニクス80にするつもりです」
文=川合綾子
写真=佐藤孝弘
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