これまで、株式会社タマス・大澤卓子社長のディグニクスにかける思い、開発に携わった研究開発チームのインタビュー、トップ選手による試打と座談会とさまざまなアングルからディグニクスについてお届けしてきた。
今回からは、指導者としての実績を着実に積み上げながら、選手活動も続ける三田村宗明氏と、氏が代表を務める龍門卓球場に通う中高生の協力のもと、初中級者でも生かせるディグニクスの使い方と指導法をお伝えする。
まずは、ディグニクス05、ディグニクス64、ディグニクス80それぞれの特徴、テナジーシリーズとの違いなどについて、それぞれのラバーを打ち比べた三田村氏の印象を聞いた。
ディグニクスそれぞれの第一印象
かかる05、かわす64、バランスの80
(2019年の4月に発売されていた)ディグニクス05に関しては、回転がかかり、ドライブを打った時に弧線を作りやすいというイメージがありました。
ディグニクス64とディグニクス80を打ち比べてみると、ディグニクス05に比べて若干軟らかい印象を受けました。フォア面とバック面のどちらに合うかを考えながら試打してみましたが、ディグニクス64はバックハンドでブロックしたり、相手の攻撃をかわすプレーや伸ばすプレー、コントロールを重視したプレーにすごい適しているという印象を持ちました。
ディグニクス80に関しては、使う人の感覚にもよりますが、フォアハンドで少し柔らかいタッチを持ちたい人はフォア面で、バックハンドで少し力のあるボールを入れながらも柔らかいボールを出したい人はバック面でも使えると思います。
ディグニクス05は、引っかかりやすい印象があるので、僕の場合は、バック面よりも強くスイングできるフォア面にお勧めします。ループドライブに対するカウンターでは力負けしにくく、パワーのある男子選手などにとっては魅力のあるラバーだと思います。
ここが違う! テナジーとディグニクス
テナジー05は僕もずっと使っていたラバーで、他のラバーに比べてスピードと回転において長けています。ディグニクス05はそのテナジー05よりも「回転をかける感覚」を身に付けやすいと感じました。
小・中学生が卓球を始めた時、まずドライブの回転をかける感覚を身につけさせたい時に、感覚がつかみやすく、指導者としては教えやすいラバーです。ボールのコントロールしやすさという点でも、ディグニクス05は使いやすい印象を持ちました。
テナジー64とディグニクス64を比べると、ディグニクス64の方がパワーを補ってくれるので、威力のあるボールが打てます。コントロール力もありながら、パワーも兼ね備えているという感じです。また、バック面の技術の幅を広げやすいラバーでもあります。ブロックがやりやすく、ツッツキも切れますし、ドライブはこれまで一発で決められなかったボールも決められるのではないでしょうか。
テナジー80とディグニクス80を比べてみると、一番違う部分は回転性能です。ディグニクス80の方が回転がかけやすいと感じました。その分、コントロールはテナジー80の方がしやすいですね。ディグニクス80はフォアハンドでもバックハンドでも使えるので、選びやすいラバーだと思います。
ディグニクスはこんな技術がやりやすい
ディグニクスシリーズの特徴として挙げられるのが、ボールを薄く捉えやすいということです。本来であれば、すごく繊細なタッチが必要な場面でも、ディグニクスならできてしまう。繊細さをラバーがカバーしてくれる部分があると思います。
特に、相手にループドライブをかけられて、今までだったらブロックしたり、打球点を落としてつないでいたようなボールも、ディグニクスだったら、打球点を落としても薄くボールを捉えてカウンターすることができます。要するに、回転のかかったボールに対して、相手の回転を上回る回転をかけ返すことができるので、力のない人でも難しいボールに対応しやすい。
一方、ディグニクスでループドライブをかける時は、テナジーよりも若干ボールが上がる印象があるので、そこは「これくらいのスイングでこれくらいの軌道が出る」ということが感覚的につかめるまでは、使い込んで慣れていく必要があるかもしれません。
また、フォア前への入りが遅れてしまったけど、長くツッツいたら強打されてしまうという場面で、正確にストップしたい場合にも、ディグニクスは力を発揮します。ラバーの引っかかりがいいので、十分な体勢でストップできなくても、短く止めやすいんですね。
ドライブを打つ場合もそうですが、試合中は最適な打球位置まで動けないことがほとんどです。そのような場合に、ラバーで回転量を出してくれるディグニクスは、初中級者でも使うメリットは大きいと思います。
さらに、ラバーの持ち(耐久性)がいいので、コストパフォーマンスもいいと思います。
(取材/まとめ=卓球レポート編集部)