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松平健太がディグニクスシリーズを打ち比べ

 アリレート カーボンを搭載したブレード(ティモボル ALC松平健太 ALC、張継科 ALC)に両面テナジー05という定番の組み合わせを長らく愛用してきた松平健太選手(ファースト)が、バタフライのラバーとラケットを打ち比べ。これまであまり多くの用具に興味を示すことがなかった彼が、フレッシュな感覚と視点で用具を分析してくれました。
 ディグニクスシリーズの打ち比べは、本人も驚きの結果になったようです。(使用した用具は松平健太 ALCにディグニクス05ディグニクス80、松平健太 ALCにディグニクス09Cディグニクス64を貼ったもの)



ディグニクス05以外は初打ち

「この4枚の中で、僕が打ったことがあるのはディグニクス05だけです。
 僕のイメージだと、ディグニクス09Cは微粘着で回転はかかるけど、飛ばない。
 ディグニクス64はこの中では一番軟らかいので、コントロールがしやすく、弾みはディグニクス05、ディグニクス80と同じくらい。
 ディグニクス05はこの中ではディグニクス09Cに次いで2番目に硬いと思うのでパワー型の選手向け。
 ディグニクス80は硬くもなく軟らかくもなく、バランスがとれたラバーなのかなというイメージです。
 それでは実際に打ってみます!」

健太流試打はカウンターでラバーの性能を見極める

「僕がラバーの試打をするときは、相手にループドライブを打ってもらってカウンタードライブするだけで、そのラバーの性能はほぼ分かります。サービス、レシーブ、台上など、細かな技術はほとんどやりません。というのも、細かい技術は選手がラバーに慣れることで解決できますが、強烈な回転のかかったボールを強く打つときは、ラバーの性能が低ければ、相手の回転に負けて落ちてしまいます。だから、ラバーの最高性能が分かるのがカウンターなんです。
 でも、さすがにカウンターだけでラバーの性能を測るのは難しいので、以下の4項目で試打しようと思います」
・フォアハンドドライブ
・フォアハンドカウンタードライブ
・フォアハンドの下回転打ち
・バックハンド対バックハンド



ディグニクス09C「パワーがある選手のフォア面にお勧め」

「ディグニクス09Cはパワーがある人向けですね。強く当てて、なおかつ回転をかけるといいボールが打てます。いいボールは相手も取りづらいと思います。その分、当たりが弱いと、あまり生きたボールが打てない気がしたので、しっかりと強く打てるパワー型の選手に合うと思います。
 カウンターはパワーがない僕でもいいボールが打てました。最初何球かオーバーミスしましたが、オーバーミスするのは性能の高いラバーの証拠です。相手の回転に負けてネットミスしてしまうのが一番よくないので、カウンターのオーバーミスはした方がいいんです。あとは面を伏せて前に振るなどしてスイングで調整できるので、カウンターでオーバーミスするのはラバーが悪いからではありません(※編集部注 実際に何球かオーバーミスしたあとはノーミスだった)。
 ディグニクス09Cは上回転でも下回転でも、強い回転のかかったボールに対して強いですね。逆に、普通のフォア打ちのようなロングボールに対しては、強く打たないと威力が出ないです。バックハンドも強く打たないといいボールが出ないので、強く打ちやすいフォア面にお勧めのラバーです」



ディグニクス64「ギャップのすごさに驚愕」

「ディグニクス64はフォアハンドではあまりいいと感じませんでしたが、バックハンドでは一番よかったですね。フォアハンドのときは、それほどボールも上がらないし、深さも普通でしたが、バックハンドではボールが上に出て深いボールが入りました。不思議とフォアのときとはまったく逆の結果になりましたね。これは想像がつきませんでした。ギャップがすごかったです。
 バックハンドが苦手な人、さらにレベルアップしたい人は、ディグニクス64に変えるチャンスだと思います」



ディグニクス05「ボールをつかんでいる感覚が一番ある」

「ディグニクス05は僕も使っていたので予想はついていましたが、他の3種類のラバーと比べたときに、球持ちがよく、『打っている感覚』『ボールをつかんでいる感覚』が一番あって、回転もかかるし、威力も出るけど、ちょっとボールが浅いかなというのはありました。ディグニクス05も比較的硬いので、パワー型の選手にお勧めです。ラバーの性能に加えてパワーもあれば、深いボールも入ると思います。フォア面でもバック面でも合うバランスの取れたラバーですね」



ディグニクス80「コントロール重視のバランス系」

「ディグニクス80は明らかにボールが深かったです。弾道はディグニクス09Cとディグニクス05に比べたら低いですが、深い分、相手は取りづらいと思います。ディグニクス05よりもちょっと軟らかいので、パワーがない選手でも、深いボールが打てるラバーですね。
 パワーがなくて、コントロールを重視する選手にお勧めのラバーです。このラバーもフォア面、バック面のどちらでも使えると思います」



健太が選ぶディグニクスシリーズのベストチョイス

 この中で僕が使うなら......、バック面はディグニクス64に確定ですね。打っている感覚も一番ありました。
 フォア面は、めちゃくちゃ筋トレして(笑)ディグニクス09Cですかね。力強く打ったときに一番ボールに威力があったので、パワーがあったらディグニクス09Cを使っていたと思います。
 今の僕がディグニクスを使うなら、フォア面は深いボールが入っていたディグニクス80ですね。深いボールは狙ってもなかなか打てないので、自然に深いボールが入るディグニクス80がいいと思います。試合では、回転は意識しても、深さまでは意識できないので、そこはラバーでカバーしてもらいたいですね。深さ重視してフォア面にはディグニクス80です。



ラバー試打を終えて

「思っていた以上に違いがありました。面白かったです」と試打後の松平選手。突出した感覚の持ち主ならではの信頼性の高い評価は、ラバー選びに悩んでいる多くの選手の参考になったのではないでしょうか。ディグニクス以外のラバーを検討している選手にも、用具選びの考え方などを参考にしていただければ幸いです。
 撮影に立ち会った卓レポスタッフが最初に度肝を抜かれたのが冒頭で紹介した「試打ではサービス・レシーブや台上は必要ない」というお言葉。ミスター・タッチならではのセンスあふれるコメントに「それでは健太流の試打でお願いします」と答えるほかありませんでした。それでも、素人もちゃんと納得できる理由があるのはさすがですね。バタフライ・アドバイザリースタッフとしても、より一層の活躍を祈願しております。

↓動画はこちら

(まとめ=卓球レポート)

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