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チャンピオンの練習メニュー 及川瑞基の練習法
④ツッツキに対する回り込みフォアハンドドライブ

 2021年全日本卓球選手権大会男子シングルスを制した及川瑞基(木下グループ)が初優勝の支えになった5つの練習方法を紹介してくれる特別企画。
 4回目は、ツッツキに対する回り込みフォアハンドドライブを鍛える多球練習を紹介しよう。
※本文の技術解説は右利きプレーヤー同士の練習を想定しています

ツッツキに対する回り込みフォアハンドドライブを磨く

フォア前をストップした後、回り込んでフォアハンドドライブする多球練習



前後の揺さぶりに強くなるために、毎回取り入れている多球練習

 試合では、相手がこちらを前後に動かして攻略しようとしてきます。特に、相手が多く使ってくるのが、「フォア前にサービス→バック側の深いところを狙ってツッツキ」というパターンです。このときのツッツキに対しては、時間の余裕がないのでバックハンドでいったんつないでしまいがちですが、それだと相手につないだボールを狙われてラリーの主導権を握ることができません。このケースでバック側に来たツッツキに対しては、回り込んで威力のあるフォアハンドドライブで攻撃できると得点力が高まり、プレーの幅も広がるので余裕を持って試合を進めることができます。
 今回の全日本では、ストップ(ボールをネット際に短くコントロールする台上技術)した後、バック側に来たツッツキをフォアハンドドライブで狙い打って、よく得点につながっていたと思います。
 相手がこちらを前後に揺さぶってくるケースは試合でとても多いので、僕が練習するときは、必ずこの多球練習を取り入れています。

ポイント① 足を細かく動かして回り込み、打球スペースをつくる

 この多球練習では、フォア前をストップした後、バック側に回り込むので、移動する距離が長くなります。この長い距離を素早くスムーズに動くためには、「足を細かく動かす」ことがポイントです。
 具体的には、フォア前に来た下回転のボールに対して右足を踏み込んでストップしたら、まず右足を後ろへ引きます。そうして、平行足に近いスタンス(足の構え)にしたら、バック側へ回り込むときの基本通りに左足→右足→左足の順に足を動かしてバック側へ回り込み、スタンスがサイドラインと平行になるような半身の体勢で打球準備します。このように足を細かく動かすことが、バック側へスムーズに回り込むコツです。
 バック側に回り込むときは、「台から適度に距離を取り、打球スペースをつくる」ことも、僕がこの練習を行う上で意識しているポイントです。そうすると、ラケットをしっかり振り抜けるので、打球に威力を出しやすくなります。

フォア前をストップした後、バック側への回り込み(横から)



ポイント② 体が左側へ流れないよう注意し、前方向へスイング

 バック側に回り込んだら、ツッツキに対してフォアハンドドライブしますが、このときのポイントは「前方向へスイングする」ことです。回り込んでフォアハンドドライブするときは、どうしても体が左側(バック側)に流れてしまい、それに伴ってスイングも左側に流れてしまいがちですが、そうなるとボールに力が伝わらず、打球に威力が出ません。
 この注意点を踏まえ、僕がこの練習でフォアハンドドライブするときは、打球後に左足でしっかり踏ん張り、前方向へスイングすることを心掛けています。左足で踏ん張り、体の左側(バック側)に壁をつくるイメージでスイングすると、ボールに力をしっかり伝えることができるので打球に威力が出ます。

ツッツキに対するフォアハンドドライブ(前から)

ポイント③ 「こする」より「はじく」力で威力を出す

 最後に、ツッツキに対するフォアハンドドライブの威力を出すコツを紹介します。
 ツッツキをフォアハンドドライブするときは、ボールをこすり上げる力が強すぎると回転はかかりますがスピードは出ません。打球にスピードを出すためには、こする力に、はじく力をプラスすることが大切です。
 これを踏まえ、僕がツッツキに対して威力のあるフォアハンドドライブで攻撃するときは、「こする力が3~4割、はじく力が6~7割」の力配分を意識して打球しています。このように、こする力よりもはじく力の方が少し強い配分を意識して、ボールにラケットをぶつけるイメージでスイングすると、打球にスピードが出ます。
 打球点は、ボールのバウンドが頂点から少し落ちたあたり狙うと、タイミングが取りやすいので、打球の威力や安定性が高まると思います。
 このパターンで打球するコースは、基本的に得点につながりやすいストレート(右利きの相手のフォア側)を狙います。「返されたら仕方がない」と腹をくくり、一撃で決めるつもりでストレートを狙うことが、得点力を高めるコツです。

ツッツキに対するフォアハンドドライブ(横から)

↓動画はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート編集部)

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